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あっくんの告白1
三日後の夕方、釈放されたあっくんが部屋に戻ってきた。
「おかえり! あっくん、今日はごちそうだよ」
あっくんは出迎えた俺をぎゅっと抱きしめた。
そうだよね。不良のあっくんといえど、懲罰部屋は辛かったんだな。
おれはよしよしと頭を撫でた。
「あいつらに何もされてねぇか?」
「え?」
「生徒会の」
「ああ! 実はさ、お昼ご飯を生徒会メンバーと一緒に食べるようになったんだよね」
「はぁ!?」
あっくんはバッと体を離して俺を見た。
まぁ疑問に思うよな。
「話してみたらそんなに悪い子たちじゃないし、庶民と話すのが楽しいみたいで」
「ふざけんなよ! お前にあんなことした奴だぞ」
「あんなこと?」
「キスにきまってんだろ!!」
ああ~、忘れたかったのに。
「男同士だからいいんだよ。ただの悪ふざけだ。俺も取り乱しすぎちゃった」
あっくんはギラギラした目で俺を睨んでる。
そんなに怒ってくれるなんて、あっくんは友達思いの子だなぁ。
「あっくんの好きなもの作ったから、早く食べよう」
「男同士ならいいのか?」
「え?」
なんのこと? って聞く間もなく、俺はあっくんにキスされてた。
「んんっ!?」
両腕にがっちりと抱きしめられて、あっくんの体と俺の体はぴったりとくっついてる。
唇も隙間が無いくらいくっつけられて、驚いてる俺の口の中に舌が入ってきた。
ぬるりとした感触にビクッと体が震えた。
「う、むぅ……っ……んぅ!」
俺は慌てて暴れてみたけど、体格が違いすぎてビクともしない。
あっくんの舌に口の中を舐め回されてる。
逃げ惑う舌を捕えられ、ちゅうと吸われて腰がゾクゾクした。
食堂で生徒会長にされたキスよりもずっと大人なキスだ。
「んっ、ん……う、むぅ……やめ……は、う」
壁に押し付けられて、責めるようにキスをされた。
正直、あっくんのキスは気持ちよかった。
やっぱり不良なだけあって遊んでたんだな……じゃなくて。
「んん!! はっ、だめだって、ううっ……だめ!」
どうにか唇を離した。
あっくんはすごく至近距離で俺の顔を見つめている。
怒ってるみたいだ。でもどうして?
「はぁ、は、なにこれ? 八つ当たり?」
「違う。お前がキスなんてどうでもいいって言うから」
「どうでもよくなんかないよ。ちゃんと好きな人とするものだ」
だから男同士はノーカンだって言ってるのに。
「……だからだ」
「え?」
「お前が好きだからだよ」
あっくんは恐ろしいくらいに真剣な顔で告白した。
ふざけてるようにも、友達だからというようにも見えなかった。
その顔は恋する男の顔だった。
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