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迷宮3

風紀室の前で副会長と別れた俺は重そうなドアをノックした。 返事がないので「失礼しま~す」とドアをそっと開けた。 「千石い……寝てる?」 千石委員長はソファの上で寝てた。 この学園の風紀は学内警察的な立ち位置らしい。 金持ちの息子の権限が教師より上だから、風紀が中立の立場で取り締まってるらしい。 まだ高校生なのに大変だよね。 俺は静かに近付いて、委員長の顔を覗き込んだ。 寝てる顔は十代らしい印象だ。 委員長はあっくんより背が高い。 百八十五くらいかな。それに筋肉ムキムキだ。 こんなに立派に育って……嬉しいよ。 とは言っても、委員長が清の生まれ変わりかどうかなんて俺の勘でしかないんだけど。 「俺が色男だからって見惚れすぎだ」 「お、起きてたの?」 委員長は大きく伸びをして起き上がった。 ソファに座り、ローテーブルの上に脚を乗せた。 「あっ、コラ。お行儀悪いでしょ」 俺は思わず委員長の行儀の悪い脚をぴしゃっと叩いた。 委員長は目をぱちくりさせてる。 しまった、またやってしまった。 「元気そうでよかったよ」 委員長は豪快に笑って脚を下ろした。 さっきからタメ口なんだけど、気にしてないみたい。 すごく大らかなんだな。嬉しい。 「俺、またあなたに会いたくて」 「なんだ? 惚れちゃったのか?」 「違うよ。あの、変な事聞くけど、俺を見て懐かしいとか感じない?」 委員長は立ち上がって俺を見降ろす。 身長差は二十センチ以上あるから、見上げると首が痛くなっちゃう。 もしかしたら委員長も何か覚えてるかも。 俺はドキドキしながら答えを待つ。 「いや……どこかで会ったか?」 ────まぁ、そうだよね。 俺はちょっとがっかりして俯いた。 「なんでもないです。あの日、助けてくれてありがとうございました」 礼を言って出て行こうとしたら、委員長の逞しい腕が俺を抱きしめた。 「なんでだろうな。お前が悲しそうな顔してんのは見たくないんだよ」 委員長は複雑そうな表情で俺をぎゅっとしてる。 「何を悩んでる? 俺にできることはあるか?」 その言葉に胸が震えた。 やっぱり委員長が生まれ変わり? でも俺は話すことができずに黙ったまま、委員長の腕の中に納まっていた。

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