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平凡、補佐になる1
事件から一週間。
俺のあだ名は恐ろしい事になっていた。
高城の飼い主。
副委員長と書記のお気に入り。
会計のおもちゃ。
会長をたぶらかした魔性の平凡。
あともう一個。
千石委員長をボディガードにした一年生。
そう、あの日からなにかと委員長は俺のことを気にかけてくれている。
ランチの時間も生徒会メンバーと一緒に特等席で食べるようになった。
最初は嫌そうな顔をしてたけど、実際俺を助けてくれたのは委員長なわけで。
ほんとにボディガードよろしく俺の隣にいた。
「大勢で食べるとご飯は美味しいから、皆仲良くね。あっくん、睨むんじゃありません」
あっくんは会長と委員長を特に警戒していて、まさに番犬のように睨んでいた。
「噂通りの番犬だな」
「あぁ? てめぇなんざいらねぇんだよ。キヨには俺がいるからな」
「け、けんかしないで。清道、困ってる」
「イイネ。イケメン同士の喧嘩って好きよ。美味しいオカズになるし~」
「……黙って食え」
会長だけはあの事件以来、大人しいんだよね。
逆に心配になっちゃう。
「風紀委員長がわざわざ出向いてこなくても、清道の身の安全は生徒会が保証しますよ」
「加賀美、もとはといえば生徒会の親衛隊が原因だろ?」
「ええ。だから提案なのですが、清道には生徒会補佐になってもらおうと思っています」
「え?」
俺は根耳に水で副会長を見た。
補佐ってなに?
「おい。補佐なんてお飾りじゃねえか。前の生徒会じゃ、補佐は役員の慰め要員だったんだぞ。お前、清道を利用する気か?」
委員長が低い声で脅すみたいに言ったので俺はひやりとした。
最近知ったんだけど、委員長って逢望学園で一番怖くて強いんだってね。
「失礼な。慰め要員なんて必要ありません。清道には重要な役目があります」
なになに? 俺はドキドキしながら副会長の言葉を待つ。
「おやつ要員です」
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