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平凡、補佐になる2

「清……あっ」 立ち上がった会長は改めて俺を抱きしめた。そして、俺の唇にキスをした。 またしても! せっかく穏やかな雰囲気だったのに! 「ん! ん! う……うん……っ」 濃厚なキスにくらくらする。 嫌だ、もう。こんなんばっか…… 「はっ……もう、ふざけるのもいい加減にッ」 「ふざけてない。お前が好きだ」 「お、俺も好きだよ?」 「そうじゃない。ちゃんと……恋愛の好きってやつだ。こんなの初めてなんだ」 恋愛って……え? あっくんと同じように俺を好きってこと? 「だ、だめだよ。俺は男だし」 「関係ない」 「ほら、おブスって言われてるし」 「清道は可愛い」 「あ……う……」 思わず赤面してしまう。 会長は恐ろしいほど真剣な表情に甘い声で俺の耳に囁いた。 「可愛いよ。清道は優しいし、まっすぐでまぶしい。お前は俺のだって、初めて会ったときに感じたんだ。好きだ。お前が好きだ」 「あ、あの、無理だ」 「なんで?」 このままじゃ間違いが起こってしまう。 会長はあっくんほど単細胞じゃない。 俺は緊張して乾いた唇を舐めて、初めて他人に秘密を話すことにした。 「俺、前世の記憶があるんだ」 「は? なんの話だ?」 「お願い、聞いて。信じてほしい。嘘じゃない。子供の頃から前世の夢をみるんだ。」 会長はじっと俺の話を聞いてくれてる。 俺は思い切ってすべてを話す。 「俺は前世、女の人で子供がいたんだ。その子を火事で死なせてしまった。助けられなかった。その子も生まれ変わって、この学園にいるって夢でみたんだ。だから俺はここに来た」 「……」 「頭おかしいって思うかもしれないけど、本当なんだ。子供の名前、清っていうんだ」 「俺がお前の息子の生まれ変わりだってのか?」 「わからない。どうやって確信がもてるのかわからないんだ。もしかしたら清は俺の子供の生まれ変わりかもしれない。だから……俺には無理だよ」 おかしなことを言うやつだって嫌われたかな……。 それとも怒った? 「そうか……」 「え? 信じてくれるの?」 「なぁ、その話。誰かにしたか?」 「え? まさか! 清にだけだよ」 会長は嬉しそうに笑った。 蕩けるように甘い顔だったので、俺はドキッとした。 「お前にとっても俺は特別な存在なんだな。俺とお前は運命なのかもしれない。でも前世なんて関係ない。大事なのは今だ」 俺様が復活してきて喜ばしいけど……あれ? 信じてくれたの? その割には言ってる事が変だ。 「俺の話聞いてた?」 「ああ。前世で親子だったとしても今は他人だ。なんの問題もないだろ」 「ええ? あるよ! 俺の気持ちとか」 「それはこれから口説いて両想いにするから大丈夫だ」 おい待て! あっくんと同レベルなこと言いだしたぞ。 「もう遠慮なんてしない。好きだ。清道」 清々しいほどに吹っ切れた会長が熱い瞳で俺を見つめてる。 どうしよう……俺……ほんとにどうしたらいいんだ。
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