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今を生きる2
委員長のことも清の生まれ変わりかもって思ってることも……
俺の話を聞き終えた委員長はしばらく黙ってたけど
「……俺がその話を信じるか信じないかは置いといてだな。前世の記憶があったとしても、その女とお前は別の人間だろ」
確かに今の俺は男だ。
もちろん子供はいないし、大人になっても女じゃないから子供なんて産めない。
俺は女じゃない。母親でもない。ただの平凡な男子高生だよ。
でもこの感情はなんなんだ?
今でも我が子の事を想うと胸が張り裂けそうになる。
「仮に俺がその息子の生まれ変わりだったとして、どうするつもりなんだ?」
「えっ?」
そこまで考えてなかった。
ただ会いたいって気持ちだけでここまで来たんだ。
「辛い思いしてないか心配だし、幸せかどうかとか、元気にしてるか知りたいってゆうか……」
「知ってどうする?」
「どうって」
「要は全部お前の自己満足だろう」
「………っ」
「相手がお前に会いたがってるとは限らない。もし高城が生まれ変わりだったらどうする? それを理由に拒むなら、高城を傷付けるのはお前自身だ。相手は前世なんざ覚えちゃいないだろう。今のお前を好きになったんだから」
自己満足……その言葉が重くのしかかる。
確かにそうだ。あっくんも会長も今の俺のことを好きだって言ってくれてるのに、俺は前世に拘り続けてる。
「お前は息子の生まれ変わりかもしれないから、あいつらに優しくしてるだけなのか? だとしたらそれは相手に失礼だと思わないのか?」
「それは……」
「生まれ変わりじゃなかったら冷たくするのか? 別の奴が生まれ変わりだって名乗り出たら、俺やあいつらのことは必要ないのか? それこそ残酷だ」
「ちがう、俺……」
委員長の言葉にどんどん追い詰められて言葉が出ない。
誰かを傷付けようだとか、清の生まれ変わりさえ見つかれば他はどうでもいいだとか、そんなこと思っていない。でも……
「泣くな」
言われて初めて涙が零れてたことに気付いた。
俺の中に二つの感情があって、大きく揺れ動いている。
亡くした息子を想う気持ちと、この学園で出会った友達を大事に思う気持ち。
最初はどっちも同じ気持ちだったのに、今は別々の感情みたいだ。
混乱して泣き出した俺を委員長は俺をぎゅっと抱きしめた。
厚い胸板と逞しい腕に安心してしまう。
助けてもらったときもそうだった。無条件に守られてるみたいな気持ちにさせてくれる。
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