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今を生きる4
委員長に言われた言葉がぐるぐる回ってる。
───お前は過去に生きている。今を生きろ。
清の生まれ変わりを探すこと。
あまり深く考えずに、ただ会いたい気持ちだけでここまで来てしまった。
けれど生まれ変わった清が俺に会いたいかどうかなんてわからない。
ほんと、ただの自己満足だったんだなぁ。
俺の心にはぽっかりと穴が空いてしまったみたい。
ぼんやりしてたら、春馬くんが心配そうに声をかけてきた。
「だ、大丈夫?」
「あ、うん。大丈夫だよ」
俺は春馬くんに聞いてみた。
「ねえ、もし前世の記憶があって、前世で死に別れた家族がいたとしたら、生まれ変わったら会いたいって思う?」
春馬くんは少し考えて、首を横に振った。
「い、今の俺を見たら、がっかりするかも」
「がっかりなんてするわけない!」
「き、清道だけ」
「違うよ。まわりをもっと見てごらんよ。親衛隊の皆は春馬くんのこと大好きだよ。先生も真面目な生徒だって褒めてるし、生徒会の皆もだ。あのチャラ男会計でさえ、春馬くんを信頼してるよ」
真面目で誠実、だけど傷付きやすい心を持ってる。
もっと自信を持てたらいいのに。
「あ、ありがとう。今、清道がそう言ってくれるから、お、俺には前世の家族なんて必要ないよ」
「あ……」
委員長と同じだ。
今が大事。今の俺が好き。
俺って過去にばかり囚われてたんだなぁ、ってようやく実感した。
この学園でこんなに平和にすごせてるのも現世での田村家の家訓のおかげだ。
今の家族、友達のおかげ。
そろそろ……前世のこだわりを手放す時期なのかもしれない。
目の前の相手とちゃんと向き合わなくちゃ。
「俺、春馬くんとずっと友達でいたい。いいかな?」
春馬くんは少しだけ寂し気に、でも嬉しそうに笑って頷いてくれた。
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