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夏休み2

 夏休みの間は校舎の方の学食は閉まってるけど学生寮の食堂だけは開いていた。そこで皆でお茶してるときに「夏休みらしいことなにもしてないなぁ」と呟いたら、会長が何か閃いた顔をした。 「よし! 肝試しでもするか」 「えっ」 「旧体育館、まだ取り壊し工事が始まってないだろ。二人一組であそこまで行って、花を供えてくるってのはどうだ?」 「……子供みたいですよ」 「いいじゃねぇか。キヨ、怖かったら俺に抱き付けよ」  副会長は呆れ顔であっくんはノリノリだ。 「なんで君と行くんです。ここは平等にくじ引きで」  副会長もノッてきちゃたよ。  肝試しかぁ……前世の記憶があるからか、お化けとかは怖くないんだよね。  でも皆が楽しそうだから、いいかもしれない。 「でもいいのかな。勝手に入って」 「体育館の鍵なら生徒会が持ってる。大丈夫だ。悪さするわけじゃないし」  そう言う会長の顔は悪い笑みを浮かべている。  ……不安だ。

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