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二度と失わない3[side千石]
[side千石]
風紀委員はある意味、体力勝負なところがある。
合宿では筋トレや格闘技も一通り行っていた。
道場でのトレーニングで、俺に散々しごかれた一年はヘロヘロになって寮へ帰っていった。
俺と三年の風紀委員は学園内の見回りをしていた。
補習のために残った生徒で悪さをするやつらがいるんだ。
旧体育館の見回りに向かうと高城と加賀美がいた。
「なにやってんだ?」
「肝試しだよ」
「お前ら……小学生かよ」
全く。平和なやつらだ。
ちょうど清道と大徳寺が旧体育館にいると聞いたので、こっそり忍び寄って脅かしてやろうと思い、俺は一人で旧体育館に行ってみることにした。。
加賀美は「どっちが子供なんだか」と呆れ顔をしていた。
変わったな、こいつも。
清道と一緒にいるようになって表情が豊かになった。
早く清道の顔が見たくなって、俺は足早に旧体育館に向かった。
「!? なんだ……!?」
煙の匂いだ。嫌な予感がして俺は走った。
暗闇の中に炎の灯りが見えた。
───火事だ!!
「清道!!」
くそっ! まさか中にいるんじゃないよな!?
俺はスマホで加賀美に連絡を取る。
「体育館が燃えてる!! すぐに消防署に連絡しろ! 急げ! 今すぐだ!」
すぐに通話を切って、俺は清道達を探す。
旧体育館の周りを探すが見当たらない。
「清道!! 大徳寺!! いたら返事しろッ!」
扉は閉っている。まさか閉じ込められてるなんてことはないよな!?
ぞっとして血の気が引く。
俺は扉を力いっぱい叩いた。
「清道ッ!! 頼む! 返事をしてくれッ」
かすかに返事をする声が聞こえた。
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