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浄化される心1
委員長の声!?
煙で朦朧としてきたところに俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
委員長だ!!
俺は会長とかばい合うように抱き合ったまま、扉を叩いて返事をした。
「委員長!!」
「千石! ここだ!! 扉が開かないんだ! なんとかしろ、馬鹿力ッ」
委員長に「下がっていろ」と言われて、俺達は後ろに下がった。
体育館の中はどんどん熱くなってきている。煙も充満してきて苦しい。ゲホゲホと咳き込むと、会長が俺を強く抱きしめた。
しばらくガンガンと扉を蹴る音がして、ドガッ!! と、激しい音と共に隙間ができた。
やった!! さすが委員長だ!
「清道! 大徳寺! 無事か!?」
二人一緒には出られない。先に会長を出さなくちゃ。
「会長、先に出て」
「何言ってんだ。お前が先に出ろ!」
それは嫌だ。
会長が無事に逃げない限り、俺はここを出るもんか。
絶対に置いて逃げたりしない。
会長の背中を押しながら叫ぶ。
「清! 俺もすぐに出るから。先に逃げなさい!」
「……っ」
その時、轟音が響き渡り、重い扉が吹っ飛んだ。
「ふざけんじゃねぇぞ!!」
「委員長! うわっ」
扉を蹴破って入ってきた委員長が俺を担ぎ上げた。
「大徳寺、走れッ」
委員長はあっという間に俺を外へ連れ出した。
そして体育館から遠くへ離れるために走り続けた。
「待って、離して!! 清が……」
「ちゃんとついてきてる。大丈夫だ」
担がれたまま後ろを見れば、揺れる視界に会長の姿が見えた。
よかった……無事で!
寮の方まで戻ると副会長やあっくんが血相変えて駆け寄ってきた。
消防車のサイレンの音を聞きながら、俺は意識を失ってしまった。
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