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浄化される心2
夢の中で前世の俺は清を失ったことを嘆き悲しんでいる。
『……私のせいで清は……私も死ねばよかった。一緒に死んでやれば……』
『ふざけんじゃねぇ!』
怒鳴り声と同時に頬を張られた。
見上げればいかつい男が立ってた。火事のとき『もう無理だ! 諦めろ。あんたまで死ぬぞ』と、俺を引きずって逃げた男だった。
庭師の男で、いつも俺と清に親切にしてくれてた。
『そんなことをしても清は浮かばれねぇよ』
彼は清を実の子のように可愛がってくれてたんだ。清も父親のように慕っていた。
怒ったような顔でボロボロと涙を零している。
『……うっ』
『俺はあんたに惚れてんだ……あんたにまで死なれたら、俺は生きてけねぇよ』
泣きながら彼は俺を抱きしめる。
俺はその背に手を回して、彼の背中の包帯に気付く。
お屋敷に飛び込んだ俺を助け出した時、焼け落ちてきた天井から俺を庇って、その背に火傷を負ったんだ。
『ごめんなさい、わ、私のせいで……』
『あんたが無事でよかった。俺はずっとあんたの側にいる。だから死ぬなんて言わねぇでくれ』
力強いのに切ない声だ。涙で震える声を聞きながら、俺の目からは涙が止めどなく零れ続けた。
庭師の男の声が……委員長の声と重なった。
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