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大切なあなた1
クイーンサイズのベッドにぽんと放り投げられて、俺は慌てて跳ね起きた。
「い、委員長!?」
委員長はすぐに覆いかぶさってきた。ちょっと待って、これってまさか……
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
「待てるか、馬鹿」
馬鹿とはなんだ。馬鹿とは!
委員長はすでに上半身裸になってて、今度は俺のTシャツを脱がしにかかってる。
「もしかしてエッチする気!? 俺、男なんだけど」
「そんなこた知ってる。大丈夫だ。男同士でもできるから、俺にまかせろ」
「あっ、ちょっと! 展開早すぎだって! まずは清いお付き合いから……わっ」
Tシャツを頭からスポッと抜かれてしまった。
なんか慣れてる? ちょっとムカつく。
この男子校では男同士で付き合ってる生徒も多いし……そういや八神先輩とデキてた時期があったって噂もあったよな。
「待てってば! え、エッチしたいだけなのかよッ!」
「馬鹿か、お前」
「何度も馬鹿って言うな……あ」
委員長は真剣な眼差しで俺を射抜いた。
「あの日、一瞬だがお前が死んじまうんじゃないかって思った」
火事の日のことだ。
あの時、会長が助かるなら俺は死んでもかまわないって思った。
会長を先に逃がそうとしたら、委員長が火事場の馬鹿力で扉を蹴破ったんだよね。
「今日と同じ明日が来るなんて確かじゃない。まだ早いだとか、明日にしようとか……そんなこと言ってる間に失うかもしれない。だから今、お前が欲しい」
「……委員長」
「隆一郎だ。隆一郎って呼んでくれ」
「隆一郎」
「清道。今、ここにお前がいるって実感したい」
そうだった。
同じ日なんて二度とないんだ。
後悔するくらいなら、今に全てを捧げるほうがいい。
心の準備なんか何一つできてないけど、俺は委員長の背中に手を回した。
委員長の痣に触れて、胸が苦しくなる。
それに気付いたのか、委員長は優しくキスしてきた。
「痛くないから心配すんな。セクシーな痣だろ?」
「……ばか」
目を閉じて、今度は俺から委員長にキスをした。
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