55 / 56
大切なあなた3
わけわかんなくなるほどの激しいエッチの翌日、俺は完全にダウンしてしまった。
お尻は痛いし、腰はだるいし、全身筋肉痛みたい。
委員長はツヤツヤとスッキリした顔をしてる。くそう、悔しいな。
「昨日は最高だったな」
「……言わないで」
昨日は世界の終わりみたいに求め合っていたというのに、すごくあっさりと次の日は来た。
いつなにがあるかは分からない。
でも何も起こらないかもしれない。
前世に囚われるのも、未来を心配するのもやめだ。
大切なのは今だ。
俺は委員長の手をきゅっと握った。
……前世での俺は、この手を拒んだ。
一人で故郷の田舎に帰り、いつまでも清のことを思って、悲しみながら一人で生きた。
でも俺は委員長の手を離すつもりはない。
「好きだよ」
言ったあとで照れくさくなって、えへへと笑った。
委員長は珍しく赤くなって、何も言わずに俺を抱きしめた。
「好きだ。清道」
俺もぎゅっと委員長に抱き付いた。
「明日、ここに引っ越してこい」
「えっ?」
俺はあっくんと一年間同室のはず……。
「風紀の特権だ。二人部屋を俺一人で使ってるから、お前の部屋もあるし。まぁ、いつも一緒に寝ることになりそうだがな」
「なっ、なに言って……」
「他の男と一緒にいさせるなんて平気じゃねぇんだよ。俺の側にいてくれ。お前の飯、毎日食いたい」
「あっ、ハンバーグ」
思い出した。委員長がタッパーを冷蔵庫に放り込んでたよね。
タイミングよくお腹がぐぅと鳴った。委員長は豪快に笑って、俺と額をこつんとくっつけた。
「俺も腹減った。一緒に食べるか」
「うん」
レンジでチンしてもらって、俺と委員長はお行儀悪くベッドの上でハンバーグを食べた。
明日も明後日も一緒にご飯食べれたら嬉しいなぁ。
毎日一緒にご飯を食べたいなぁと思ったら、それはもう恋だ。
姉ちゃんのいう事は正しいな、と思いながらハンバーグを頬張った。
ともだちにシェアしよう!