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青嵐 1
ほころび始めた蕾は開花の時を待っている。
優しく、根気よく友情という養分を注いだ芽はすくすくと伸びしなやかに揺れている。
その先にたくさんの花を咲かせるのはいつの日か。
入学式で初めて会った薫は期待に満ちた他のクラスメイトとは違い、所在なげで不安そうに見えた。
同じ中学から来た顔見知りと固まりやすい雰囲気の中で孤立してるように見え、立花は目が離せなくなった。
儚げで線の細い薫は繊細そうな見た目もあって扱いにくい印象を与えていた。
クラスメイトは遠巻きに眺めるだけで距離を詰めようとはせず、かといって疎外する訳でもない。
校内行事を通じて少しづつ周りに打ち解けては来たが浮いた印象はぬぐえず、立花の興味を引いたまま時間だけが過ぎていく。
薫が陰ならば、立花は陽だ。
お互いの友人も接点がなく薫に近づく機会が持てないまま視線だけで追う毎日。
なぜこんなにも気にかかるのだろう。
挨拶程度の接点しかなくまともに目を合わせたこともない。
その瞳に立花が映る日は来るのだろうか。
これではまるで恋をしているようだ。
相手の挙動に一喜一憂し片想いに悩んでるみたいな気持ちになる。
立花は180近い身長とそこそこ整った容姿で今まで恋愛関係でつまずいた事はない。
明るく人当たりのよい彼の周りには男女問わず人が集まり、その中で適当に遊んで来た。
来るもの拒まず、去るもの追わず。
もちろんあとに引くような別れ方はしていない。
ただ誰に対しても本気になれず、お互い納得の上で別れてきた。
それが……
一目で惹かれた薫に対しては声をかけることもできずにいる。
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