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青嵐 2
焦る立花を嘲笑うかのように季節は流れ、距離を詰められないまま、また春がやってきた。
春休みにクラスの連中が集まるらしいと聞くとはなしに聞いていたが、薫も来ると噂で聞き耳を疑った。
今まで誰が誘っても応じなかった薫が?
計画の中心となっている斎藤に確認すると確かに薫も参加するという。
聞けば断る隙を与えず強引に誘ったらしい。
なぜそうまでして薫を?
少々キツい口調で問い詰めると斎藤は笑って言った。
「だって1年経っても打ち解けないだろう?高橋は。あと2年このメンバーで過ごすんだから、楽しくやろうや」
だからってこれは高橋が萎縮するだけだろう。
1年間そっと見守って来た自分には分かる。
「なら俺も参加しようかな。高橋と話してみたいし」
「珍しいな、まぁ女の子たち喜ぶからいいけど。最近付き合い悪かったから、立花には声はかけなかった」
じゃメンバーに入れとくわ、ひらひら手を振りながら離れる斎藤を見送り立花は小さく息を漏らした。
とりあえずこれが高橋に近づくきっかけになればいいが……
そう思っていた春休み。
思いがけず夜の公園で桜を見上げ立ち尽くす高橋を見かけ、思わず体が動いた。
ほとんど話したこともない自分に腕を取られびっくりしたように見上げる高橋を見て、なぜか苛立ちキツい言葉を投げつけた。
言いたい事があるなら頷かずに言えばいい。
ちゃんと俺が聞くから……
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