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三部 ジュニア・ハイ-12

 暗くなってから寮に戻ると、やっぱり部屋にみんな揃っていた。 「またいる。みんな暇だね」 「気にするな。ここでできることをしてる」  リックが分厚い本を読みながら言う間も、キースとデニスとケニーはスナックを食べ散らかしながら、今日会った女性について話していた。誰の胸がどうとか誰の足がきれいだったとか、良い匂いがしたとか、俺は誰が良い、などくちぐちに言い合っている。フランツはいつも通り、美沙緒から贈られたアニメを見ていた。  どうやら今日は誰もセックス出来なかったらしい。してたら絶対自慢してるに決まってる。  そう思いながら着替え始めた淳哉に、「あのさあ」フランツが画面から目を離さずに口を開いた。 「あの女、やめたほうがいいかもな」 「あの女?」 「アビーだよ。俺、クリスティとずっと話してたんだけど、すげえ悪口言ってたぜ」  画面から淳哉へ視線を移したフランツが言うと、ケニーも言い添える。 「ああ~、俺も聞いた。今日はブリッ子してるって」  デニスは口の中の物を大急ぎで飲み込んで、女口調になって身をくねらせる。 「いつもと違うのよぉ、温和しいカッコして、妙に静かにしてるしぃ」  そこで普通に戻り、肩を竦めた。 「なんだってさ。あの綺麗な男の子、金持ちなの? とか聞かれたよ」 「おまえゴム使ってるか?」  リックが本から目も上げずに言ったので、淳哉が「いいや、使ってない」というと、一瞬目を上げ、「使っとけ」と顔を顰めた。 「彼女が必要無いって言うから」 「うっわ! 怖ええっ!」  キースが大声を上げたので、「静かにしろって」と言うと「ばっか!」と逆に責められた。 「そんなの妊娠狙ってるに決まってんだろっ! ちゃんとしとけよっ!」 「妊娠だって?」  ビックリして言い返すと、フランツが画面に戻した視線のまま言った。 「十四歳で父親になりたいなら、別に良いけどな」 「……父親?」  呆けたように問い返す淳哉をよそに、デニスがフランツに言った。 「別にそれはイイじゃん、愛してるなら年とか関係無いよ」  そのままニッと淳哉に笑いかける。 「なあ、アビーを愛してるんだろ?」  しかし淳哉は聞こえなかったように、瞬きひとつしなかった。  珍しくぼーっとしている様子に、デニスは自分だけ無視されたと感じ、苛立って「おいっ! 聞いてるんだろっ」と肩を強く押した。  ハッと我に返った様にデニスを見返すと、小太りの丸顔が、お菓子をネズミにかじられた時の表情になっていた。 「アビーを愛してるんだろって聞いてんだっ! 答えろよっ!」 「えっ、まさか」  慌てた様子で淳哉が答える。 「名前だって今日初めて知ったんだ」 「おまえ最低だなっ」  デニスの怒鳴り声の後、全員からため息が漏れた。 「……クズだ」 「そうだった、こういうやつだった」 「女も女ならおまえもおまえだ」 「……まあ、かまわないけど」  そう言うリックはもう本を見ていない。 「おれらが言ったこと、忘れるなよ」  淳哉を見る視線は、射貫くように厳しかった。 「なにかあったら自業自得だ。こっちに泣きつくような真似するな」  あまり回らない頭で、淳哉は息を呑み、「……分かった」と頷いた。  すると少し緊張した空気を打ち破るように、キースが大威張りでポケットからゴムの箱を取りだした。 「よっし! んじゃゴムの付け方教えてやる」 「えっ」 「なんで持ってんだ」 「今日、使うかと思ったんだよ」  自慢げにもう一箱取りだして、キースはニッと笑う。 「二箱?」 「どんだけヤる気だったんだ」  くちぐちに詰られながら、キースはみんなを見回して、ゴムの箱をアピールした。 「いいから、ちんこ出せ」  言ったそばから自分のペニスを出し、シコり出す。 「おい、なにしてる」  上がった声にも構わず、キースは毅然と言った。 「まず見本やってやる。ちゃんと見てろよ」  やがて半勃起させたペニスに、するするとゴムを装着した手付きは驚くほどスムーズで、 「チェリーのくせになんで?」  と声が上がると、自慢げに鼻をうごめかせた。 「いざという時のためだ。準備は怠るなって兄貴が言ったんだ」  自慰する時も、半勃起したら付けて練習しているのだと言う。 「これ付けるのでもたもたして、女の子冷めさせないようにさ。おまえらもやってみろよ」  キースのセックスに対する情熱とマメさに感心しつつ 「兄貴、役にたってんじゃん」  とひそひそ言い合いながら、淳哉も言われるまま、半勃起まで持って行く。  キースに股間を注目され 「おまえの、勃起したらそこそこでかいな。そんな顔のくせに」  意味不明な不満をぶつけられながら装着しようとしてみたが、うまくいかない。もたもたするうち、爪で破ってしまった。それを見てキースが顔を顰める。 「おまえ爪切れよ。エッチするのに爪伸びてるとか最悪だぞ」 「そ、そうなんだ」  しかし爪切りが見つけられず、そのままもう一度チャレンジする。萎えてきたら擦るので、なにげに大変だ。  全員がそれぞれシコって半勃起させているのだが、ここぞとばかりにみんなをリードするキースは、自分が教える立場になることが滅多にない為、自慢げだった。  全員の股間を見回っていたキースが、唐突に「おいっ」と声を上げ、フランツの前でみんなを手招きしたので、みんな半勃起のペニスを露出したまま集まる。 「……なんだよ」  淡々とフランツは見返したが、みんな視線を股間に釘づけたまま 「おおー」 「うわお」 「へえー」 「意外」  などとくちぐちに呟いた。  フランツの股間にゴムを被ってそそり立つモノが、みんなと段違いにでかかったのだ。それぞれ自分の股間と見比べて、ある者は溜息をつき、ある者は拳を握り締める。 「……テク磨くか」  そう呟いた淳哉の声に、みんな黙って頷いた。

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