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第26話
店員が部屋から出ていくのを確認すると、レイは急に真面目な表情になり、リュックの中からクリアファイルを取り出した。
「積もる話もあるが、シノブも気になっているだろうから、早速だけどまずは本題に入ろう。
俺、2カ月ほど前にさ、バイク用のパーツをネットショッピングしたんだ。で、届いた段ボール箱には、緩衝材として丸めた古新聞が隙間に詰め込まれてたんだ。そいつを畳んで捨てようとしたら、たまたまこれが目に飛び込んできた」
そう言って、レイはクリアファイルを開いた。
中には皺を伸ばした新聞のスクラップ。ただし、それはいわゆる記事ではなかった。
紙面の下の方によく載っている死亡広告。よく、企業などが会社の重役などが亡くなって社葬をするときなどに載せているあれだ。
黒い枠に囲われたその広告には、こう書かれていた。
弊社 取締役専務 沢井義則 儀
不慮の事故の為、7月26日
51歳にて逝去いたしました
ここに生前のご厚誼に深謝し
謹んでご通知申し上げます
なお通夜密葬の儀は近親者で相済ませました
追って葬儀並びに告別式は社葬をもって・・・
ハッとしてレイの顔を見た。
レイは頷いて、広告内の葬儀会場の住所の欄を指さす。それはかつて僕たちがいた地方が書かれていた。
「沢井商事ってよくありそうな名前だけど、年齢的にもピッタリだろ?
だけど、あいつの下の名前が義則だったか確信が持てなくてさ。あいつの名前を意識なんてしたこと無かったろ?何とか確認できないかと思ったんだ。
まずその会社のホームページを見てみたんだけど、超簡単な会社紹介しか載ってなくて、そこでは何も分からなかった。
これは多分あの地方のローカル紙だろうが端が切れてて何新聞か分からないし、不慮の事故って言うのは交通事故かなんかかと思ってそのあたりの日程でネット検索してもうまくヒットしなかった。
パーツの販売元に電話してみたが、そこは自分で在庫持って発送してるわけじゃなくて、注文の都度メーカーや卸業者に委託するらしくて、そんなことは分からないと相手にされなかった。
で、思い切って古い知り合いの振りをして沢井商事に電話を掛けてみたんだ」
僕はゴクリと唾を飲み込んだ。
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