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第45話
荒い息のまま、汗だくで抱き合った。お互いの首筋に鼻を埋め合う。
まだ陽向の心臓がいつもより早くトクトクいっているのが、ぴたりと合わさった胸から伝わって来る。
陽向の息が首筋に当たってくすぐったいが、陽向の匂いを肺に満たすと、昂っていた気持ちが穏やかに凪いでゆく。
息も整ったところで、陽向の唇にチュッとキスを落とした。あんまり嬉しそうに微笑むからほっぺにもおまけでチュッ。
「・・・征治さん、ありがと」
「ん?」
「色々、いっぱいあるけど、全部ひっくるめて、ありがと」
陽向が言いたいことは分かる気がする。
穏やかな微笑を浮かべる陽向の髪を梳く。
「俺もだよ。陽向、色々全部、ありがとう。それから、色々ひっくるめて、凄く嬉しい」
「僕も、嬉しい・・・えへへ、なんかさっき感極まって泣いちゃった」
恥ずかしそうに笑う陽向に、今度はもっと甘いキスをした。
かなりクッタリした様子の陽向にシャワーは無理だと判断して、陽向がホカホカタオルと呼んでいるものを取りに行く。
タオルを水で濡らして絞り、電子レンジでチンしたものを2本作って、ベッドに戻る。
いつもここで、自分でやるという陽向とやらせろという俺との間にお決まりの問答があるのだが、さすがに疲れたのか今日はあっさりと引いた。
涙の跡が僅かに残っている顔から順に拭ってやる。気持ちよさそうな表情を浮かべ、されるがままになっているのがこれまた可愛いのだが、もうさせてもらえなくなると困るのでそのことは黙っておく。
「今日は色々あったね」
陽向がおっとりとした口調で言った。寝不足が続いていたし、もう眠たいのかもしれない。
「そうだね。朝から女の子だらけのスイーツショップに翔太のお土産を買いに行って・・・」
「あの時は気持ちに余裕が無かったけど、今思えば、女の子達が征治さん見てきゃあきゃあ言ってたね」
「そうだっけ?全然知らない。男二人で買いに来てるのが珍しかったんじゃない?」
陽向の手を取り、指を一本一本拭いていく。
「その後、陽向は翔太と約8年ぶりの再会をして、衝撃的事実を知って」
「うん」
「俺は初めて恋人だって紹介してもらって」
「ふふふ、そこ大事なんだね」
「とても大事。それから・・・俺と陽向は身も心も一つになった」
「うん」
コクリと頷き、はにかむ姿が可愛い。我慢できずに、キスをする。
体を拭き終わったので、ボクサーブリーフとパジャマを着させる。その間に、手早く汚れたベッドパッドや枕カバーを交換した。今度、別のクッションも用意しておこうかな。
陽向を横にならせ、布団を掛けてやる。
「瞬息でシャワー浴びてくるけど、眠かったら寝てていいよ」
「ううん、起きて待ってる。がんばる」
頑張らなくていいと髪を撫でて、でも本当に頑張らせたら可哀そうだとそそくさとシャワーを浴び、ベッドに戻った。
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