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第62話
はあはあと荒い息をしている僕の右手を、征治さんが膝から外してくれる。
「くくく、ちゃんと最後まで抱えてて、陽向はお利口さんだね」
硬直したようになっている右腕と右脚を優しくさすってくれながら笑う。
「征治さんが、外しちゃ駄目って言ったんじゃないか」
恥ずかしさを誤魔化すようにむくれて言うと「そうだっけ?」と、とぼける。
「酷いよ、あんなに焦らして、僕だけ先にあっという間に達っちゃったじゃない」
唇を尖らせると、
「だって、焦らした後の陽向、凄く気持ちよさそうに達くからさ。ほら、こんなところまで飛んでるよ」
僕の顎まで飛んでいた飛沫をティッシュで拭ってくれながら笑う。
「むぅー、なんか征治さんだけ冷静で悔しい」
「冷静なわけないじゃん。陽向見てるだけで鼻血が出そうで大変だったよ」
「絶対、嘘!」
「嘘じゃないって。ほら」
征治さんが僕の手を取って自分の股間へ導く。
そこには熱く滾る充溢があった。
「今度は僕がしたい」
「だーめ」
「なんで?」
「陽向の中でいっぱいしたいから」
そう言って口角を上げると、ジェルのボトルのキャップをパチンと押し上げた。
初めての時と比べ、迷いのない動きで骨ばった長い指が入り口を解していく。
初めての時も十分驚いたけど、征治さんってほんとに何でもそつなくこなすよなあ。挿入を伴うセックスだってまだ数えるほどしかしてないのに、この手慣れた感は何なの?
なんか、ズルい。
その時、ひゅっと指先が敏感なところを掠め、ぴくんと体が跳ねた。
「陽向クン、他の事考えてうわの空なんて、すっかり余裕デスネ」
そう言ってまた、敏感なポイントをくすぐって来る。
「あん、ち、違う・・・征治さんがズルいって、やああ・・・」
「ズルい?」
解す手は休めずに、征治さんが問う。
「そう。なんでも出来て・・・弱点ないの?そっか、これから毎日一緒なんだから、じっくり探せばいいんだ」
「ふふふ、なにそれ。俺の弱点・・・分かんないの?凄く分かりやすいと思うんだけど。ふふ、見つけられたら教えてね」
またその余裕・・・と思っていたら、急に征治さんが色っぽい吐息を漏らし悩まし気な表情を見せた。
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