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第63話

「はあ、もう限界・・・早く陽向の中に入りたい・・・」 その台詞に胸がきゅうんとなった。 セックス専用のクッションを腰の下にあてがわれ、両脚を抱え上げられる。 「入るよ」 真剣な顔で言われ、ドキドキする。いつもこの瞬間の征治さんの顔にクラクラするのだ。 ぐぐぐっと圧迫感を伴って、熱い切っ先が僕の中を分け入って来る。 ああ、征治さんと一つになるんだ。この最初の苦しさは、もうそういう風に僕の中で置き換わっている。 ふーふーと息を吐いて力を抜き、征治さんを招き入れる。さあ、もっと奥まで来て。僕の中を征治さんでいっぱいにして。 「はあ、陽向・・・気持ちいいよ・・・」 自身を全部埋めて、覆いかぶさって来た征治さんが愛おしくて、僕からキスをする。 最初じゃれ合うようだったそれは、やがて情欲を滲ませたものに変ってゆき、征治さんの親指が胸の尖りを捏ね始める。 それに伴ってただでさえ灼熱が埋め込まれている僕の内部に新たな熱が溜まりはじめ、熱く征治さんを包み込む。 僕の中で征治さんがビクビクと反応を始め、ふうーっと低い唸り声を上げて征治さんが身を起こした。 髪を掻き上げるその男っぽい表情とギラリと光ったように見えた目に、征治さんがまるで狼の獣神か何かにでも変化へんげしたような錯覚を起こした。 ずるりと内臓を引きずり出されるような不快感と同時に、行かないでと縋りたくなるような焦燥感。 ずぶりと太い楔を迷いなく打ち込まれる圧迫感と同時に、愛しい男に身を貫かれる多幸感。 抽送が始まれば、もう自分を保っていられる時間は僅かだ。 力強いストローク、的確な性感帯への刺激、僕の中をかき混ぜるような腰の回転に、ただ翻弄され、あられもない声を上げ続け、ぐずぐずに溶けていくばかりだ。 快感の渦に飲み込まれ、今どこにいるのかも分からなくなりかけた時、「陽向、陽向っ」と荒い息の間に呼ばれた声に意識を引き戻される。 ああそうだ、今僕は、世界でただ一人欲した(ひと)に抱かれているのだ。こんな幸せなことがあるだろうか。 手を伸ばして征治さんにしがみ付く。 「あああ・・・征治さん・・・征治さん・・・」 僕の欲望も硬く勃ちあがっていて、綺麗に腹筋の割れた征治さんの腹に当たって擦られている。 そこへ征治さんの手が伸びてきて、ぎゅっと包まれた。 「ああっ・・・はああ・・・んん・・・」 思わず声が漏れる。 征治さんがそれを扱き始め、突きあげる動きも激しさを増してきたことで、征治さんの終わりが近いことを知る。 「一緒に、()こうね」 そう耳元で囁けば、掠れ声で返って来た「ああ」という返事と同時に征治さんのものが一層大きくなったと感じた。 征治さんの荒い息遣いが雄を感じさせ、耳元で「陽向・・陽向・・・」と僕の名を呼ぶ声が色っぽくて、痺れる。 逞しい劣情に何度も穿たれ、また快感の濁流にさらわれるなか、夢中で征治さんの名を呼びながら熱を放った。 直後に「っっく!」と征治さんが呻り声をあげると同時に身を強張らせ、僕は内部にドクドクという脈動をはっきりと感じとった。

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