66 / 144
第66話
初めて経験する強烈な快感に、もはや言葉を発することも出来ず、脳みそからドロドロに溶けていく。
耳元で征治さんが
「陽向、体支えられないなら寄りかかっていいよ」とか
「俺に掴まれる?」とか
言っている声は音として聞こえてくるけど、それを理解して実行に移すことができない。
「あああああ・・・、んんんんん・・・・ふああああ」
「ああ、陽向、可愛いな。痛くないね?気持ちいいの?」
なんとか小さく首を縦に振ると、僕を抱えた征治さんが下からグリグリ腰を動かし僕の奥の奥をかき混ぜ始めた。
「ひゃああああ・・・はうううううう・・・」
わああ、なにこれ!?
頭の中でパチパチと色とりどりの火花が飛んで、夜空の花火みたい・・・。
だんだん、火花の色が明るい黄色に変わって・・・どんどん白に近い眩しい光に変化していく。
ああ、征治さん、すごい、まるで真夏の太陽みたい・・・
そこで、僕の意識はぷつりと切れた。
翌朝、なんと10時過ぎまで寝こけていた僕は、やっぱり綺麗に体を清められちゃんとスウェットを身に着けていた。
確かに体は今までで一番重だるかったけれど、
「こういうのはアフターケアが大事だと思うんだ」
と、征治さんが丹念に腰や背中をマッサージしてくれたお陰か、いつもランニングの前後に怪我防止のためにしていた下半身のストレッチがよかったのか、歩けないことはなかった。
征治さんの運転で、無事買い物も済ませ、夜は二人でポトフを作った。
征治さんは無理しなくていいと言ったけど、これから平日に僕が家に居るときは、なるべく晩御飯を作るつもりだ。そのために、今までちょっとずつ練習してきたのだ。
味覚には自信がないけれど、ネット上には色々なレシピが溢れている。まずはその通りに作ることから始めてみようと思っていた。
月曜日の朝、征治さんが慣れた手つきでネクタイを結び、スーツの上着をサッと羽織ってバリッとしたビジネスマンに変身する様を間近で見て、惚れ直す。
玄関で振り返った征治さんがチュッとキスをしてくれ「行ってきます」とほほ笑むのに「行ってらっしゃい」と見送るのは、新婚家庭みたいだと胸がムズムズした。
一人暮らしの時は、書いてると夢中になって夕飯を抜いたり、気が付いたら夜中になっていることもあったけど、これからは征治さんが家に帰って来てからは二人の時間に出来るようにしたい。
水曜日には山瀬さんとの会食もあるし、よおし、僕も頑張るぞと気合を入れて仕事部屋へ向かった。
ともだちにシェアしよう!