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第135話

ぐにゃりと脱力した僕を抱きかかえたまま、征治さんが耳元で甘い声で囁く。 「陽向?大丈夫?」 「・・・ん・・・」 力が抜けすぎて、目の焦点すら定まらないような僕の様子に、征治さんはまだ硬い自身をずるりと引き抜いた。 「陽向、なんか凄かったね・・・何回も連続で()っちゃった?」 征治さんが、汗で顔に張り付いた髪を払って後ろに梳いてくれながら、頬やこめかみにキスを落とす。 「ん・・・あんなの、初めて・・・」 昔、男娼をしていた頃、小耳に挟んだ気もするが、一種の都市伝説というか幻想かと思っていた。 「ふふ、陽向が()く度に締め上げられて、こっちもあわや、だったよ」 そこではっと気づく。 「わ、ごめん。また、僕一人で先に・・・」 「いいよ。あんなに感じてもらえたら俺も嬉しいし。もう、落ち着いた?」 こくんと頷くと、 「じゃあ、今度はこっち」 征治さんが胡坐をかいて、おいでというように手を広げる。 「あ、それ、怖いやつ・・・」 「怖いんじゃなくて、気持ちいい、でしょ?」 今まで数度、征治さんと対面座位で抱き合ったが、その度に最奥まで責められ僕は意識を飛ばしてしまっている。 僕の直腸と征治さんのものの長さのバランスのせいらしく、征治さんは「二人の相性がいいってこと」とニコニコするが、恐ろしいほどの快感に一人でぶっ飛んでしまい、翌朝いつも申し訳ない気持ちになるのだ。 その時、ふと、いいことを思いついた。 ためらいが無いと言ったら嘘になるけど・・・。引いたりしないよね? 僕は四つん這いになって、征治さんにお尻を向けた。 「っ・・・」 背後で息を飲んだのが分かって、ちょっと不安になる。だって、さっきしたそうだったし・・・殆どの男の最も好む格好であることは経験上知ってるから・・・ 失敗したかもしれないと後ろを振り返ろうとしたとき、ベッドのスプリングが軋み、征治さんが背中にゆっくり覆いかぶさって来た。 鼻を僕の襟足に埋め、鼻先であたりを(まさぐ)る。獣が匂いで相手を確認しているみたいで、狼に品定めされている鹿になった気分。 うなじを温かい舌でベロリと舐められ、首筋に唇や舌が這い始める。熱く、僅かに興奮を滲ませる吐息が敏感な首筋に掛かって、ぞくぞくする。 耳朶を舌でなぞられながら「陽向」と囁かれて振り返ると、唇が重ねられた。 「ふっ、陽向ったら・・・もう」 その続きが知りたくて、目を合わせるけれど、征治さんは妖艶に笑っただけだった。 タトゥーにキスを落とされ、ぴちゃぴちゃと音を立てながら首筋を舐められ、肩やうなじを甘噛みされると、「ああ、これから食べられちゃうんだ」とぞくぞくに拍車がかかる。 征治さんの手が脇腹をさわさわと撫で、やがて指先が前に回ってきて乳首を捏ね始めるとまたお腹の中にじわじわと熱が湧き出すのを感じ、腰が揺れてしまう。 僕の臀部にはずっと硬いままの征治さんのものが当たっていて、僕の腰が揺れる度それがビクッと跳ねる。

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