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※第9話

何故男に接吻されなくてはならない。 しかも初対面で、まともに顔すら見てない相手に。 ふつふつと怒りで頭に血が上っていき、掴まれた腕を振りほどいて、一発顔面に拳をくらわす。 「ッ、いてッ、てめぇ!!」 仁川が俺の股間をギリギリと捻りあげてきた。 あまりの痛みに、俺は悲鳴をあげる。 ビリビリと神経が頭に突き刺さる。 「ッイ、ッにか、わっ!!」 身体を痛みでバタつかせるが、全く力を緩めることがなく、痛みで目の前がチカチカして真っ暗になる。 「っくそ、デカい奴が相手だとうかうかできねえな。暴れたら、また捻り潰すぞ」 チッと舌打ちをして、横暴にも唇を再度吸いあげて、ゆるく舌をうごめかせて舐め上げる。 股間を宥めるように動かされながら、脅されて何でこんなことをされているのか混乱しながら動けなくなる。 股間は弱点でしかなく、マジで痛くてたまらない。 「ッ、な、何がしたいんだよ……っ、きみはッ」 都会の悪い輩というものは、俺の理解の範疇を超える。 唇から逃れて必死に言葉を繋ぐと、仁川の表情はまったく見えないが優しい口調で囁く。 「セックスだよ。わかるだろ、それくらいしか楽しみはないしな。おクスリあげるから、楽しもうぜ」 惚ける俺の唇にちゅくっと舌先が入り込み、唾液を伴い何か錠剤のような硬いものを喉の奥まで押し込められる。 呑んではいけないと思うのに、鼻をつままれて息苦しさに嚥下してしまう。 「合法だから、大丈夫」 何が大丈夫なのか分からないが、もやもやしている視界がぐにゃりと歪み始める。 セックスは好きな女性と子を作るための行為で、男同士ができるわけがない。 「即効性だけど、まだ効かないか?」 顔を覗きこまれて、唇を舐め回されるだけで身体中が熱をもってくる。 掴まれている肉竿にも血がどくどくと溜まっていって、ビクビクと膨らんで脈打つのがわかる。 いままでに、自慰をしてもこんな感覚になったことはなかった。 「ッ……ふ、っ、は……っ、な、なにを、のませた」 問いかけに、くすくす笑いながら仁川が俺のペニスをくちくちとしごいているのが分かる。 ダラダラ垂れ落ちる先走りに、内股が知らずに開いてしまい、酷い格好を晒してしまっているのがわかる。 「堅物の田中でもキモチ良くなって、セックスしたくなるクスリだよ。初モノだよな、へへへ、興奮する」 頭がくらくらして呼吸が苦しくて仕方がない。 体が熱くて重くて自由にならずに、逃げ出したいのに身体を動かすこともできない。 「ッい、いやだ……ッ、さわ、るな」 たまにオス同士で動物を飼い続けると、間違って性交を始めることがあるが、それは人間でも起こるというのか。 「痛くないから、キモチがいいことだぜ。これから一年俺の相手してもらうからな、覚えてよ」 瓶を取り出してぬめる液体を指先に纏わせて、俺の肛門に塗りつけると、ぐぷっと押し込むように中へといれる。 「ーーっ、い、や、だ……ッあ、ッや、だ」 「ホントに?キモチいいんじゃねえか?」 ゆるゆると擦られると、熱をもった内部がじくじくとして、ぶわわと背筋から快感が這い上がる。 ぬめる粘液に助けられてか痛みはまったくなく、指先の動きがぬぷぬぷと全身を支配していく。 これは、ダメだ。 こんなことしたらダメだ。 俺は快感に流されまいと、拳を強く握りしめて首を横に振った。 「んッ、ふッ……ッあ、あ、ッや、め、ッ、やだっ、やだ……っ、ぬけっ」

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