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第15話

教室に着くとまだ駒ケ谷は来ていないようだったので、鞄を置いて座ると小柄な生徒が近づいてきた。 「田中くん、君はまだ転校してきたばかりだから知らないと思うけど、駒ケ谷くんはサッカー部のエースでカーストも高いんだから、君みたいなイモくさいのと一緒にいたら困るんだよ」 机の前で他の生徒にも聞こえるように言う。 またカーストか。 よく分からないことを言い出すなと肩をすくめる。 「君の名前を知らないが、一体誰が困るんだ?勇大が困るなら、直接俺に困ると言ってくるだろう」 「大体今どき髪型が七三分けとかカッコ悪いんだよ」 容姿のことを言われても困るが、この髪型が七三分けというのだろう。 「俺がカッコ悪いことが、君に迷惑をかけているのか」 まったく言いがかりがよくわからず俺は首を捻る。 「駒ケ谷くんが、穢れる」 また意味が分からんことを聞いたなと思いながら口を開こうとすると、背後から椅子ごとぐいと誰かに抱きつかれる。 「‪蜂屋、俺のカレシに何を因縁つけてんだ?」 目の前の小柄な生徒がブルブルと小動物のように震えてごめんなさいと立ち去るので、背後を振り返ると頬に湿布を貼ったままの仁川がいる。 「仁川、オマエ来たのか。カレシって何だ?そもそもオマエとはルームメイト以外の何でもないが」 首を傾げて問いかけると、うるせえと返される。 「オマエらも、コイツに因縁つけるなら、俺を通せよ」 仁川の言葉に教室がシーンと静まり返る。 何だか気まずいなと思いながら溜息をつくと、教室に駒ケ谷が現れた。 「おはよう。大介。と、仁川……珍しいな」 少し汗をかいているのをみると、駒ケ谷は朝練だったようだ。 駒ケ谷も教室の空気のおかしさに気づいて眉を寄せ、視線で仁川に問いかける。 「コイツに絡んでるヤツがいたから、カレシだって宣言したんだよ。で、なんなくフラれたとこだ」 「まあ、フラれるだろうな」 駒ケ谷は鼻先で笑うと、俺の隣の席に座る。 「おい、駒ケ谷、席を変われ」 「嫌だよ。オマエ1番前だろ?」 一番前は流石にイヤなのだろうか。 「俺が変わろうか?」 問いかけるとそれ意味ねえからと吐き捨てられて、仁川は逆の隣に座っている生徒を無理矢理どかして座った。

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