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※第18話
腹の鈍痛と全身の違和感に目を醒ますと、ぼやけた視界で分かりにくいがちょっと作りの違う寮の部屋のようだった。
頭の中がぼんやりとしていて不鮮明ではっきりしないが、確か俺は教室にいたはずだ。
何故か全裸で両腕を頭の上で固定されて拘束されているので、起き上がることはできない。
ああ、そうだ。
背負い投げされて、鳩尾を脚で踏まれてオトされたのだ。
「目が覚めたかい、田中大介君。本当に何の変哲もない名前で、逆に今の時代には珍しいよ」
名前に変哲などは要らないと思うのだが、頭上で俺に語りかけるのは、仁川の従兄弟の久我という男だろう。
眼鏡がないので、まったく視界がボヤけてしまっていて何もわからない。
「ああ……いい背負い投げだった。仁川の従兄弟どのは……柔道の心得があるのだな」
俺が問いかけると、久我は何故か一瞬押し黙った。
「君は今の状況を分かっているのか」
不審げな口調には、呆れたような響きも含まれている。
「視界が悪くて全部は把握出来てないのだが……」
眼鏡を返してくれと言うと拒否された。
最近、眼鏡を奪われることが多いような気がする。
前の学校ではそんなことはなかった。
「将が君を庇う気持ちも分かったが、君はもう少し身なりに気をつかうべきだよ」
柔らかく穏やかに響く声だがやはり何故か冷たく聞こえる。
ゆっくりとベッドサイドに座り、おもむろに俺の肌に手を滑らせる。
この男も牛と同じようにオスにでも反応するのだろうか。
「まあ、僕も君に興味はもったけれどね……」
粘液の入った瓶を取り出して俺の脚を開くとそこにダバダバと零す。
「つめた、い。仁川も、お前も相手なら沢山いるだろう」
何も俺を相手にしなくともいいはずだ。
「そうだね。だからかな、なかなか靡かない相手というものが珍しくてね」
クスリを使われていない分、今日の方が相手の動きをしっかり把握出来て気持ちが悪い。
「珍しいからするようなことじゃないだろ」
「悪いかな?君だって、僕の特別になりたいだろ」
どこからその自信がくるのだろうと俺は思いながら、首を横に振った。
「できれば、これ以上関わりたくないと思う」
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