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※第25話
何度目かもう既にわからない。
久我の目の前で、名前すら知らない男たちが俺を抱いている。性欲処理ですらない。
これは、私刑だとわかる。
「ッあ、っああ、っいいッ……ッいい」
身体は悦んでいて、唇から漏れでるのは甘く蕩けた喘ぎ声。
まったく自分の声とすら思えない。
早く部屋に帰って……勉強しなきゃ……ならないのに。
「ひっ、いい、いいあ、ッで、でるっ、ッうう」
びゅーびゅーとザーメンを吐き出すのは心地よくて頭がどんどん思考を停止していく。
「樹生、開けるぞ」
低い声が響いて、ドアがギイと開かれる。
また久我は別の男を呼んだのだろうか。これはまだ続くのか。絶頂の声をあげながら、頭の片隅で絶望を覚えると、駆け寄る影が俺をギュッと抱きしめる。
「間に合わなくて……ゴメン。大介」
優しく響く声と腕は駒ケ谷のものだ。
俺は安心して目を閉じる。
「沢崎君……君か。人の部屋に勝手に入るのはいただけないよ」
「樹生。うちの後輩の駒ケ谷から聞いた。彼は駒ケ谷の友達だから助けたいと。樹生、生徒会長でストレスが溜まっているのはわかるが、こういうことは露見したら取り返しがつかない。もうやめよう」
しっかりとした口調で久我に意見を言う男の影は、かなりいい体格の男だ。
久我にも意見を言える相手がいるのだなと、何だか安堵して俺は駒ケ谷の胸に頭を押し当てた。
「大丈夫か?つらいのか」
「……ありがと……う」
久我は怖いやつだと前に食堂で言っていた。
それを顧みずに助けにきてくれたのだ。
「沢崎君……僕は別にストレスの捌け口にしたわけじゃないよ。彼を恋人にしようと考えただけだよ」
別に悪いことはしていないという様子に、沢崎は溜息を吐き出した。
「お前のしたことは、タチの悪いストーカーみたいなもんだよ。手に入らないものなんてなかったのだろうが、長い人生そういうこともあると覚えておけよ。とりあえず駒ケ谷、帰るぞ」
俺はふらふらする身体を駒ケ谷に抱きかかえられて、久我の部屋を後にした。
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