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第27話
腹が減っていたので食堂で沢崎がごちそうしてくれて、サッカーのことを語り合ったあと、駒ケ谷の部屋へと着いて、すぐにシャワー室に入り身体を洗う。甲斐甲斐しく服を用意してくれたり、世話をやいてくれるのは、初日の罪悪感からかとは思うが、心が折れている俺にはそれが嬉しかった。
べたつく身体は気持ちが悪くて、思い出す自分の姿も浅ましくて忘れ去りたいし、葬りさりたい。
用意してくれた部屋着に着替えて、リビングに向かうと、ぼんやりと駒ケ谷以外の人物が俺をびっくりしたように見上げている。
「駒ケ谷、誰?この人……」
指差しているのがわかり、俺は軽く頭を下げる。
「2年C組の田中大介だ、三日前に転校してきた」
「え……」
相手の言葉が止まるが、駒ケ谷は軽く息をついて、
「あ、オレのルームメイトの蜂屋。同じクラスだよ、話したこと、まだなかったか?」
っても見えないよねと、眼鏡を返してくれたので、眼鏡をかけると、彼はカーストがどうこうと文句を言ってきたヤツだった。
「ああ、一度話したな。確か……えーと、カーストとかなんとか……」
「あ、あっ、あれ……忘れていいから」
慌てたように首をブンブンと横に振る。
「あー、スクールカーストな。なんだかんだうちにもあるしなあ。仁川とか……久我さんとか……。大介は仁川と同室なんだけど、まあ、色々危ないから今日はオレの部屋に泊めることになった」
「仁川さんのカレシとか……本当なのか」
目を白黒させて蜂屋は俺に聞くが、俺は頭を横に振った。
「仁川が勝手に言ってるだけだ。俺はそんなつもりはない」
大体、男同士でカレシとかはよくわからない。セックスをするのも、よくわからない。
「眼鏡ないと見えないのか?」
蜂屋は俺の顔をマジマジと見ながら質問をしてくる。
ツンケンしていた時とは違い、人懐こい顔をしている。同室の友達をとられたようで嫌だったのかもしれないな。
「まったく見えないな。度がかなりあるもんで、特注品だ」
分厚すぎて眼鏡をかけると、瓶底のように顔の目のあたりも歪んでしか見えない。
「疲れてるだろうし、大介、そろそろ寝ようか」
「ああ、ありがとな。でも、あんまり、罪滅ぼしとか気にするなよ」
至れり尽くせりの駒ケ谷に、なんだか申し訳なくなりながら肩を叩くと、駒ケ谷は首筋を赤く染めて首を横に振る。
「……ちがうよ、オレがそうしたいからだよ……」
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