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第28話
駒ケ谷は俺を自分の部屋へと招き入れると、ベッドを使ってくれと言って、クローゼットから布団を出して敷き始める。
「布団にはオレが寝るから。大介は体痛いだろ?」
「……優しいな、勇大は。あ、でも布団じゃなくて一緒に寝ればいいと思うのだが、わざわざ敷くのは面倒だろ?」
部屋を借りる俺がベッドというのもなんとなく居心地が悪い。
でも身体がギシギシするので、正直いうと申し出はとてもありがたい。
眼鏡を外してベッドヘッドに置くと、俺は遠慮なくベッドに横になる。
スプリングは体にフィットするので、心地よい。
「一緒にって……。大介は、いや、じゃないのか」
「何でだ」
問いかえして、ベッドに寝転びゴロゴロと転がり二人寝ても大丈夫と思いながらも、念の為2人では狭いかと聞き返すと、そんなことはないと首を振って駒ケ谷は遠慮がちにベッドに座る。
友達との雑魚寝はよくしていた。
だから、それは不自然なことではなかったのだ。
「大介に色々したいと思うのは罪悪感からじゃないけど、でも、オレには罪悪感はあるんだ」
きっと初日のことを今でも気にはしているのだろう。
正直いうと、駒ケ谷がきた後のことは、あまり記憶にはない。
「……別にいいよ。それは……」
流石に二日も身体を酷使しすぎていたので、眠くて仕方がなくなり、俺は欠伸を噛み殺した。
やってしまったことは、仕方がないし、それ以上に駒ケ谷は俺を気遣ってくれている。
「大介は、オレに助けてって言ったのに」
駒ケ谷がグダグダ言っているのに、俺はその体に腕を巻き付けで寝転ばせる。
「いいから、寝ろって……記憶途切れていて覚えてないから」
顔を近づけてそんなことはもう怒ってないからなと笑いかけると、ぶわっと駒ケ谷の肌が熱をもって赤く染まる。
可愛らしい反応だなと思いながら、頭を撫でる。
「オレ……大介に一目惚れだから」
駒ケ谷がポツポツと言いずらそうな口調で、俺に告げる。
「ん……ひとめ、ぼれ?」
「眼鏡とった時……さ。ギャップにやられたっていうか……だから……仁川の誘いに……」
まだまだグダグダ言う気らしいので、俺は駒ケ谷の口を手のひらで塞いだ。
「もう、いいって……べつに、おまえならイヤじゃない」
眠たさが最高潮でそれ以上瞼がもたずに、俺は駒ケ谷の身体を抱え込むようにして眠りについた。
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