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※第35話
身体が熱くて仕方がなくて呼吸もせわしなくなる。嗅がされた薬のせいなのか、身体がそうしむけているのか分からず、不安で仁川の肩あたりの服の生地を握る。
「こわ……い……っ、はっ……うっく……にか、わ」
「将って、呼べよ。怖いのか」
「視界がはっきりしてるから……なんか、指が入ってるって分かる……し」
ゆっくりと抜き挿しされる指の動きがまざまざと感じられ、仁川の男らしいが綺麗な表情も見える。
何がなんだか分からなかったこの間とは全く違う。
「……今日は挿れないし……ダイスケだけ気持ちよくなってくれ」
囁くともごっと形の良い唇に肉竿は包まれて生暖かい感覚と、優しい舌先が敏感な箇所を舐め上げるので腰が震えてしまう。
「ーーんっ……っ、ふっ、にか……っ、しょう……っ、はあ、っ、ん」
緩やかだが確実に快感を煽る舌先と、指の腹が押し上げる刺激に自制がきかなくなる。
「……んぐ……っ、ふ……っふぇらちお……ひもひいいっの、だいすけっ……」
息継ぎの合間に名前を甘ったるい口調で呼ばれ、喉の奥まで使って愛撫されると堪らず腰が揺れてしまい、もっと深く押し入りたくなる。
俺は仁川の頭をグッと押さえてズッと最奥へと押し込んで、ドクッと遂情を放つ。
熱が溜まって仕方がない。
「……んんん、しょ……っ、う」
頭がぼーっとして仁川の頭を離すと、仁川は苦しそうに咳き込み、それでも俺の出したものをえづきながらも飲み込んでいた。
「……す、まない……自制できなかった」
「かはっかはっ……死ぬかと思った……。少しは楽になったか」
問いかけられて、俺は返答に迷っていた。
なんだか、不完全燃焼のような感じだった。
久我が俺を抱きながら何度も言っていた言葉が気になる。
あの時、久我が言ったように、男のものがなくちゃ満足出来ない体になっちまったのか。
指を引き抜かれて、俺は思わずその腕を掴んでいた。
好きだと言う相手に、これ以上させることはかなり酷なことかもしれない。
何とかしなきゃ、な。
「どうした……ダイスケ?」
俺は迷いを捨てて首を横に振って、ありがとうと仁川に告げた。
自分に気持ちがないのに、期待をもたせてはいけない。こんな事は最後にしなくてはならない。
ぐるぐると迷っていると、仁川がギュッと抱きついてくる。
「俺……皆に贔屓されて、顔色伺われて……ずっと寂しかったんだ。ダイスケだけが、俺を同等の人間だと扱ってくれた。タツキもワタルも……弟扱いだったし。ダイスケには、何でもしてやりたいんだ」
綺麗な金色の髪が頬をくすぐる。
嘘偽りのない仁川の言葉が、俺には何故か痛かった。
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