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第39話

「ダイスケ、大丈夫か?タツキはあれじゃ諦めないと思うし、告白するとか初めてだろうし」 寮に戻るすがら心配そうに仁川が語りかける。 「……そうだな」 誰もが告白をすれば喜ぶと考えている様子が鼻についたが、あれだけ自分のシンパに取り囲まれていれば、そうなるのかもしれない。 自分が彼の思うようにいかないから、意地になっているのかもしれない。 恋愛とかはよく分からないが、久我のそれが恋愛だといえるものじゃないとは思う。 駒ケ谷や仁川は誠心誠意に自分への感情があると思えたが、久我は違った。 「……仁川。さっき殴られて痛くはなかったか」 「あー、大丈夫だ。タツキの拳は正確に弱点をついてくるけど、体重が乗らない分軽いから」 「それならイイ。ありがとう」 「……田中君、僕何もできなくて、ごめん」 蜂屋は震える声で言ったが、確かにあれだけの数に囲まれたら怖くなるだろう。 「構わないよ。蜂屋もついてきてくれてありがとう。大丈夫か、カーストのヒエラルキー」 ヒエラルキーを気にしている蜂屋のことだ、テッペンから睨まれてビクビクしているに違いない。 「ん。……駒ケ谷君に話を聴いた時から覚悟してたから」 エレベーターに乗って部屋に辿り着くと、どういう手段を使ったのか部屋の前に久我が取り巻きと立っていた。 「……田中君、ちゃんと謝罪をしましょう。だから許して欲しい……」 グッと拳を握る様子を見ると、人に詫びることなど今までしたことがなかったのが見てとれる。 「謝罪してくれるんですか」 「酷いことをして、申し訳ありませんでした」 深々と頭を下げる様子は、何故か屈辱なのか小刻みに体が震えている。 俺は久我の腕を掴むとギュッと握手をする。 人に頭をさげるなんてことは、プライドの高いこの人はしたことがないに違いない。 精一杯の誠意に胸を打たれた。 「わかりました。許しますよ。だから、後ろの人たちを追い払ってください。俺の部屋でお茶をしましょう。仁川も蜂屋も一緒に……いいだろ?」 俺は、部屋の鍵をあけると久我を招き入れて、仁川たちを促した。

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