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第3話
眼鏡を外し、唇を重ねる。
すぐに求めてくる建人を翻弄してやると、甘い吐息が零れ始めた。
そっと、建人のそこにふれ、指先でゆっくりと撫でてやる。
すぐに建人は僕から唇を離し、きつく抱き付いて荒い息を吐き出し始めた。
「……や。
史朗」
「なにが嫌?
もうこんなに張り詰めてるのに」
きつそうに脹れあがったそこを爪で軽く引っ掻くと、建人が小さく悲鳴を上げた。
「し、ろう。
……もう」
「ああ、晩メシまだだったね。
腹空いたし、準備するか」
涙目で睨んでいる建人を無視して眼鏡をかけ、キッチンに向かおうとすると、シャツを引っ張られた。
「しろう。
……お願い」
「僕に隠し事をするような、悪い子の云うことは聞けない」
建人は赤い顔で荒い息を漏らしながら、上目遣いで僕のことを睨んでいる。
そういう姿に。
……ゾクゾクした。
「明後日には云うから。
だから、お願い」
「いま」
「お願い、だから」
「云うまでこのままだよ」
「……」
……結局、建人は唇を震わせながら、隠していることを話さなかった。
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