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double date-1
その言葉通り、ショッピングモール内を一緒に歩くミルクは、待ち合わせ場所に着くまで僕の腕に絡みついていた。
その腕に当たる、ミルクの平たい胸、絡む細い腕。
ミルクの体から発する甘い匂い。
長くてさらさらとした白い髪……
男だとわかっているのに、まるで女の子と本当にデートをしているみたいで、何だか調子が狂う。
「……ねぇミルク」
「ん?」
「ちょっと、離れて歩こうよ……」
ドキドキしながら提案するも、ミルクは更にぎゅぅっ、と腕に胸を押し付け、上目遣いをしてくる。
「……もしかしてコタロー、照れてる?」
「て、照れてなんか、っ!」
……かぁぁ、と顔が熱くなる。
その様子を見たミルクの口端が、意地悪げにクッと上がった。
「……ホントぉ…?」
そう言って、くりっとした大きな瞳が僕の目を覗き込む。
その近い距離に驚き、慌てて視線を外した。
……と、その時。
ミルクの横を追い越そうとした男性が、チラッとこちらに視線を向けた。
そして黒目だけを素早く上下に動かした後、今度は舐める様に見る。
まるで、品定めをするかのように……
「……ねぇ、」
その男性が僕達の正面に回り、親しげに声を掛ける。その声に反応したミルクが、僕から男の方へと顔を向ける。
さらり、と揺れる……白髪のツインテール。
「二人で何してるの?」
先程のイヤらしい目付きが消え、一瞬で柔やかな表情に変わる。
「………」
何か嫌なものを感じ、僕は相手をじっと見据えた。しかし、ミルクはそうではなかったらしい……
「何って、デートだよっ!」
嬉しそうに答えながら、僕に体を密着させる。
「………へぇ……女の子同士で?」
……え……
聞き間違い……?
……今、女の子って……
ぼそり、と呟いた男の口元がイヤらしく歪む。しかし直ぐにまた、柔やかな笑顔に戻った。
「ねぇ、お腹空かない?一緒にご飯でも食べようよ」
ミルクと僕の顔を交互に見た後、男は近くのレストラン街の方に立てた親指を向ける。
「何か食べたいもの、ある?」
「……え」
「とりあえず、行ってから決めようよ」
「あ、あの……」
半ば強引に話を進められ、その流れに乗せられてしまう。
「いいから行こう!」
男に手を掴まれ、グイと引っ張られた……その時。
ミルクの白くて細い手が伸び、男のその腕を掴む。
「……デートの邪魔しないでよ、おじさん」
いつもと違う……
低く唸るような声に驚いて見れば、ミルクが怖い顔をしていた。
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