12 / 81

5

〈さっきはごめんね〉 健太郎にラインを送る。 ……別れ際、目も合わせてくれなかった…… それもそうだ。 呆れられても仕方がない、と思う…… 既読はついたものの、音沙汰のない画面にふぅ、と溜め息をつく。 重い気持ちのままスマホの画面を切り、ポケットにしまおうとする。 と、手中でスマホが震えた。 《なにお前が謝ってんだよ》 待ち受け画面に表示されたメッセージ。 健太郎のラインアイコンが目に映る。 僕は縋る様にそれを見つめながら、ほっと胸を撫で下ろした。 〈僕が、ちゃんとしてなかったから〉 送信……既読。 《そうだよ、ちゃんと強く拒否れよバカ》 「………」 健太郎の言葉が、胸につっかえていたしこりの様なものを溶かしていく…… ……良かった、いつもの健太郎だ。 〈うん。そうだね……ごめん〉 《……で?》 健太郎の返信に戸惑う。 〈え?〉 《なんかお詫びでもしてくれんの?》 ……お詫び……? 〈うん〉 送信……既読。 「……」 そこで返信が止まる。 あ、そっか。 まだ梨華ちゃんと一緒、だよね…… ……邪魔しちゃ悪いし。 お詫びを何にしようか考えながら画面を切ると、今度こそスマホをポケットにしまった。 先程までとは違う、軽くなった気持ちで……

ともだちにシェアしよう!