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〈さっきはごめんね〉
健太郎にラインを送る。
……別れ際、目も合わせてくれなかった……
それもそうだ。
呆れられても仕方がない、と思う……
既読はついたものの、音沙汰のない画面にふぅ、と溜め息をつく。
重い気持ちのままスマホの画面を切り、ポケットにしまおうとする。
と、手中でスマホが震えた。
《なにお前が謝ってんだよ》
待ち受け画面に表示されたメッセージ。
健太郎のラインアイコンが目に映る。
僕は縋る様にそれを見つめながら、ほっと胸を撫で下ろした。
〈僕が、ちゃんとしてなかったから〉
送信……既読。
《そうだよ、ちゃんと強く拒否れよバカ》
「………」
健太郎の言葉が、胸につっかえていたしこりの様なものを溶かしていく……
……良かった、いつもの健太郎だ。
〈うん。そうだね……ごめん〉
《……で?》
健太郎の返信に戸惑う。
〈え?〉
《なんかお詫びでもしてくれんの?》
……お詫び……?
〈うん〉
送信……既読。
「……」
そこで返信が止まる。
あ、そっか。
まだ梨華ちゃんと一緒、だよね……
……邪魔しちゃ悪いし。
お詫びを何にしようか考えながら画面を切ると、今度こそスマホをポケットにしまった。
先程までとは違う、軽くなった気持ちで……
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