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健太郎は、一瞬だけ目を見開いた後、僕から目を逸らす 「……お、おぅ」 返事を聞いた僕は、あひる座りをしたまま腕をクロスし、シャツの裾を掴む 「……んっ、」 一気に捲り上げ腕を上に伸ばす 素肌が空気に曝されると、張り付く服の不快さから解放される 「……あれ」 脱ごうとした服と一緒に、下に着ていたタンクトップまで捲り上げているのに気付く 「……わ、ごめんっ!」 慌てて腕を下げ、服を元に戻しながら健太郎に謝る 「全部脱ぐつもりはなかったんだけど……」 身形を整えながら苦笑いをする僕から、健太郎はふぃっと顔を背けた ……あ、あれ、怒ってる? 「……ご、ごめん」 もう一度謝るけれど、健太郎はそっぽを向いたまま反応を返してこない 「健太郎……?」 不安に駆られ、床に手を付くと 四つん這いになってそろり、と健太郎に近付く 申し訳なさそうに見上げると 健太郎の顔が少し赤くなっているのに気付いた 「……お、怒ってる?」 「別に…」 ぶっきらぼうに答える健太郎は、やっぱり僕に目を合わせてはくれない…… 「顔、赤いみたいけど……大丈夫?」 更に近付き、片膝を立てて座る健太郎のすぐ目の前でお尻をつく そして、未だこちらに顔を向けてくれない健太郎をじっと見上げた 「……ねぇ、健太郎……」 「………」 健太郎の額から、幾つもの玉の汗が流れているのが見えた それが顎のラインに沿って流れ、喉仏の横を走る 健太郎の体から発する熱気が、こちらまで届いている気がする…… 「熱さにやられちゃった、とか?」 そう言って、健太郎の顔を覗き込もうとした、時だった…… 「……そう、かもな」 両肩を掴まれ 少し乱暴に倒される 少しだけひんやりとした床を背中に感じ 同時に、戸惑いと不安が僕を襲った 「……けん…」 僕を見下ろす 真剣な目…… それから……逸らせない 「……煽りやがって」 小さく動いた健太郎の唇が 僕の唇を塞ぐ 「………、んっ」 その衝撃に戸惑いながら 瞼をギュッと瞑る 「…ゃ、……はぁ……っ、」 苦しくて口を開けると そこから健太郎の舌が入り込んだ ……え…… なに、これ…… 歯列や上顎をなぞられ 咥内を掻き回される 生温かなその感触は、初めてで ……不快だけど……でもそこまで不快じゃなくて…… よく、わからない……

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