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ポケットに入っていたスマホが震えた 「………」 重い瞼をゆっくり押し上げる いつの間にか床の上に、横向きに身を縮めて眠ってしまっていた事に気付く 胸の辺りまでかかったタオルケット それを退かしながら、アオに責め立てられ、茶々丸に慰められたのをぼんやりと思い出す 辺りはもうすっかり暗く、窓から漏れ入る外灯の光だけでは心許ない ブブブ…… まだ微睡みの中にいる僕を起こすように、再びスマホが震えた 取り出して画面を見ると、健太郎からのメッセージが表示されていた 「………」 《ごめん、悪かった》 《悪い……お前に酷い事した》 ラインを開けば、似たような謝罪の言葉が、いくつも送られていた 一気に現実が押し寄せ スマホを持つ手が震える 昼間の出来事のせいで、健太郎との友達関係が崩れてしまい……どうしていいかわからない…… ……あんな事になって もう、どうしたらいいんだろう…… 涙がじわりと滲み、画面が歪む 《…でも、軽い気持ちじゃねーから》 《小太郎の事、一番に想ってるから》 「………」 ……嘘、だ 乱れたキナコの姿が浮かび その言葉だけでは、なんとも心許ない だけど…… ……バタンッ、 突然玄関のドアが締まる音がし、騒がしくなる 「……あーもう、疲れたぁ!」 ミルクの声 「完全な猫ではないから、下僕猫に聞き出す事もできんしな」 「し、……小太郎が起きる」 アオらしい台詞の後、それを制する茶々丸の声…… スマホを持ったまま立ち上がり、そっと玄関の方へと足を忍ばせる どうやら外から帰ってきたようで、三人ともきちんとした身形をしていた 「……あの、」 物陰から出て、思い切って声を掛ける すると三人の獣耳がピクリと動き、ほぼ同時にこちらに顔を向けた 「どこか、行ってたの……?」 恐る恐る尋ねると、ツインテールにレースのワンピースを着たミルクが大きな溜め息をついた 「……もぉコタローに直接聞いちゃおーよ」 片方の眉山をピクリと動かし、口角を上げながらも、少しだけ目尻を吊り上げて見せる その顔は、ナンパ男に対して見せた顔と同じ、怖い顔をしていた 「ねぇコタロー……健太郎の家まで案内して」

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