24 / 81

4

健太郎の家に辿り着き、震える気持ちを抑えてチャイムを鳴らすと、暫くしてドアが開かれる 「……小太郎」 その向こうに、健太郎の驚いた顔があった 僕が突然来るなんて、思わなかったんだろう…… 揺れた健太郎の瞳に、僕の心が大きく揺さぶられてしまう それは今までとは違う……胸を焦がす様な、体が熱くなる様な…… あんなにぐしゃぐしゃで混乱して、絡まった糸みたいになっていたのに 健太郎の顔を……目が合っただけで、嘘みたいにすうっと解けていく…… 「……健太郎…」 健太郎とのキスは……嫌じゃなかった その後された行為も、急すぎて気持ちが追いついていけなかったけど…… ……でも、拒絶してしまう程、嫌じゃなかったよ だから、健太郎……そこは謝んないで…… そうされたら僕は、どうしたらいいかわかんなくなっちゃうから…… 僕の思いを健太郎に伝えたくて、口を開いた時だった 「……けん、たろー」 背丈が低く僕と同じ髪色をしたキナコが、廊下の奥からペタペタと可愛らしい足音と共に近付き、健太郎の背後に隠れる そして健太郎のTシャツの裾を掴み、そこから顔をひょこっと出し、じっと様子を伺っていた 「………」 健太郎の視線が僕から外され、体ごとキナコへと向けられる 健太郎のであろうブカブカのTシャツがずれ、大きく開かれた衿口から剥き出された、キナコの華奢な肩 その首筋から鎖骨の端まで、幾つも散った赤い印…… 「………」 ……僕が嫌だったのは…… 健太郎は僕だけじゃない、って事…… 感覚が無くなりそうな手を、ギュッと握って拳を作る その手を、温かな掌にそっと包まれる ハッとして見れば、その手の主は隣に立ったミルクだった 「……キナコ、こっちおいで?」 ミルクがそう言うと、キナコは怯える様に健太郎の背中に完全に隠れてしまう 「オイ、貴様!」 僕とミルクを押し退け、アオが強引に玄関の中へと押し入る そしていきなり健太郎の胸ぐらを掴み捩り上げた 「……貴様、小太郎に何をした」 アオが鋭い八重歯を剥き出し、低く唸る 衿部分が健太郎の首に食い込み、頸動脈が絞まった 「……あ、アオ……!」 止めて……死んじゃう……! 駆け寄ろうとして、ミルクの手にぐっと止められた

ともだちにシェアしよう!