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「……どうやら、キナコが世話になった様だね」 僕とミルクの背後で、事の成り行きを見まもっていた茶々丸が口を開く 「そして、アオが乱暴して申し訳ない」 振り返って茶々丸を見れば、穏やかに目を細め、口角を綺麗に上げていた 「……あ、いや…」 襟足を掻きながら、健太郎が軽く頭を下げる 茶々丸と健太郎を交互に見たキナコが、不安そうに獣耳を寝かせた その様子を見た茶々丸は、キナコにキラースマイルを向けた後、健太郎に向き直る 「健太郎くん、これからもキナコの事を宜しく頼むよ」 その言葉に、キナコ以外が一斉に口を開けて驚く 茶々丸の方へと振り返ったアオが、鋭い八重歯を見せる 「……貴様、キナコを売るというのか……!」 「アオ、黙りなさい」 冷静に、でも強く茶々丸がアオを制する そして穏やかに細められた目が開かれ、その端が少し吊り上がった 「今のキナコにとって、これが最良な選択なのは、アオも解っている筈だよ」 「………」 その言葉を受け、眉根を寄せながらもぐっと押し黙る それは僕の手を握るミルクも同じだった 「……って、ちょっと待て……!」 服の裾をキナコにぐいと引っ張られながらも、慌てた様子で健太郎がその空気を切り裂く そして僕に真剣な顔を向けた 「小太郎、俺はお前が………」 「……ねぇ、それ以上言っちゃう?」 健太郎の言葉を遮り、ミルクがボソリと低く唸る その顔は、明らかに健太郎に対し嫌悪の表情を浮かべていた 「……けん……ぁ、あつ…ぃ…よぉ……」 キナコが突然苦しそうな声を上げる 顔を上気させ、助けを求める様に健太郎の服を引っ張る 「……またぃっぱい、して……ぉ願い……」 もじもじと内腿を擦り合わせ、キナコが甘い声で訴えれば 健太郎の視線が、僕からキナコへと簡単に移ってしまう 宥める様な表情を浮かべた健太郎は、見上げるキナコの髪を優しく指で梳く その様子を、顔を逸らしながらも視界の端で見た僕は そっと、鎖骨の下に残る印に触れた つい数時間前…… 健太郎は、僕の事…… 「………」 顔を伏せ、完全に健太郎を視界から外すと、ミルクが代わりにその視界に入り、僕を抱き寄せた 「……もぉ帰ろ、コタロー」 僕の髪に指を差し入れ、健太郎がキナコにしている様に、優しく撫で梳いた

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