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健太郎とキナコ、そして僕とミルクの様子を横目で見たアオは、チッと舌打ちをし一人サッサと先に外へ出ていく 「……行こうか」 背中に当てられた茶々丸の手に誘導され、ミルクと手を繋いだままアオの後を追う 「……オイ、待てって」 慌てた健太郎が僕を追い掛け、二の腕を掴んで引っ張った 「小太郎!」 「………は、離して……」 やっとの思いで、小さく拒絶する 突然の事で驚いて振り返ってしまったけれど、すぐに健太郎から顔を背ける 「僕にした事なら………忘れる、から」 怖くてちゃんと見れない…… ……指先が痺れて、堪らない…… だけど、ちゃんと言わなくちゃ…… 全身が心臓になったかのように、ドクンドクンと大きく震える 「……健太郎も、忘れて……」 ……忘れるから……気付いちゃった健太郎への気持ちも、何もかも……全部…… ……無かった事に、するから 「はぁ?……んな事できるかよ、……お前の事、諦められるかよ、……!」 その手が、僕を強引に振り向かそうとしたその時……だった 「……ま、って……けん、……あっ!」 追い掛けてきたキナコが転んだのが解った その瞬間………健太郎の言葉はそこで止まり、僕の腕を掴む健太郎の手が緩む そして視線と共に、僕から手が離れていく……… 「………」 ……それが、答え……だよ…… 「………っ、」 ズルいよ、健太郎…… 僕の心をこんなに掻き乱しておいて 掴まれていた所が、痛い…… 痛くて、苦しいよ…… 背中を丸め、先程から溢れ零れそうになる涙を懸命に堪える 茶々丸の手が、そんな僕の頭を優しくポンポンした 「……サイテー」 ミルクが嫌悪を露わにして呟く 僕の髪を梳き撫でた茶々丸の手が、僕の肩に置かれる 潤んだ瞳のまま見上げれば、茶々丸の緩く細められた瞳から、穏やかで温かな愛情の様なものを感じ、胸が切なく震えた 堪えきれず、溢れた涙が一筋零れ落ちる その涙のあとを、折り曲げた人差し指で拭うと 茶々丸は僕から視線を外し、健太郎とキナコのいる方へと向けた 「……健太郎くん 君が小太郎に何をしたかは、大体の察しがついている ……この先キナコを裏切る事は勿論、これ以上小太郎を泣かせる事も この茶々丸が、許さないからね」 その瞳は、先程とは違う 冷酷なまでのキラースマイルであった 第1章 完

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