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「………」
酷い汗……
上掛けをそっと掛けた後、水で濡らしたタオルを用意する
……どうしていいかわからない……
風邪みたいな症状だけど、猫から人間に変わった変調……なのかもしれない……
もしかしたら、本当に僕があげた牛乳のせい、なのかも……
「………」
どうしたらいいんだろう
なにをしたら、正解なんだろう……
アオの傍らに正座し、整った綺麗な顔を覗き込む
時折眉間に皺を刻み、奥歯を食いしばる姿に、ズキン、と胸が痛む
用意した濡れタオルを握り
汗を拭おうと、そっと……アオの額へと近付けた、時だった
ガシッ……
あんなにぐったりしていたのに
アオの手が、その手首を掴む
「……オレ様、に……さわ、るな…」
苦しいのに……
辛くて堪らない筈なのに……
瞼を薄く開けたアオは、僅かに残る精神力で僕を威嚇する
それに威圧されながらも、それでも僕はこのまま見放す事なんか出来なくて……
「……ひどい、汗だったから……」
「今のオレ、様に……近付く、な……!」
荒い息を吐きながら、瞼を更に少し上げ
ガラス玉の様に青く光る瞳を見せつける
「………」
掴まれた手を引く
ぱたり、とアオの腕が落ち、安心したのか瞼が全て閉じられる
「……あの、……僕に、なにか……」
何処からあんな力が出たのだろう……
掴まれた手首は、圧痕が残るほど強くて痛い
僕の言葉にぴくりと反応したアオは、まるで眠りについたかのように瞳を閉じたまま
吐息混じりに言葉を発した
「オレ様の体を、元に戻せ
……そして、景虎の所へ、連れて…行け……」
「………」
手首をそっと摩る
あの時は、汗を拭う事すら許されなかった……
……けど……
今回そうさせてくれたのは……少しは警戒心が解けたからだろうか……
それとも、……僕だと気付いていないのかな
「………」
アオはまだ、僕を許してはいない
茶々丸やミルクが僕を良く思ってくれているから……仕方なく、なんだと思う
……僕も、許して貰えたとは思ってないよ
どうしたら猫に戻るのか、わからないけど……
もう一度、タオルでアオの額をそっと拭く
「ん、……」
少しだけ獣耳がぴくりと動いた後、アオの唇がゆっくりと動いた
「……水、……」
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