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「……じゃ、これつけてねー」 口紅を塗ったスタッフの男が、半ば棒読みでそう言うと、猫耳のカチューシャを僕の頭に装着させる そしてプリーツスカートにはピンクのリボンがついた尻尾 意識が半分どこかへ飛び、されるがままの僕は、まるで着せ替え人形のように……ただ目を見開いているだけ…… ……大丈夫、怖くないから その微睡みの中、男の声がくぐもって聞こえる パッ、と眩い程の照明が僕に当たる そこへバスローブ姿の男がベットに上がり、僕の傍に身を寄せると顔を覗き込んだ ……優しくしてあげる 男の手が伸びる それは、現実のものなのか記憶のものなのか……わからない 指先が、剥き出しになった僕の太腿にそっと触れ、するりと撫で上げる ……や、やだ…… 幼い頃の僕の声が、耳の奥で小さく響く 「……可愛い子猫チャン」 その言葉で、ハッと意識が戻る 気付けば、ベットに沈められ、バスローブを脱いだ男が、僕の顔を覗き込んでいた ……やだ…… 指先が震え、体が固まり……声すら出ない…… 目玉だけ動かし、こちらを見る男性スタッフ達の中から健太郎を探す 「……!」 そこから立ち去っていく、派手な服…… ……触らないでっ! あっち行ってっ! 偶然、帰宅した母が 僕と男の密接した姿を目にする 頭を抱えて座り込んだ母は、涙目のまま僕を憎らしげに睨む ……ママ…… イヤ…、これ以上ママに近づかないでっ! ……ごめんね、ママ 僕……目立たない様にするから…… 地味にして、もう誰の目にも映らないようにするから ……だから、捨てないで……ママ…… ママ…… 「……こうされるの、気持ちいい?」 男の手が、ユニフォームの下に潜り込む 「随分エッチなカラダしてるね……ん、小さいのにぷっくりして……可愛い」 男の舌が、捲り上げ曝された乳首を厭らしく這い舐める 「………」 生気を失ったような瞳の端から、涙がつぅ、と零れ落ちる 眩しい程の照明……スタッフの視線…… 両膝を畳んで押し上げられ、そこから内腿を撫で広げられる 男が少し身を離すと そこにカメラのレンズが近付く 健太郎に似た、キャッチの男は パーテーションのある方へと足早に去って行く それを、じりじりとした気持ちのまま、ぼんやりと目で追った

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