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「……透けて見えるよ……ホラ、」 男優がスカートをペラッと捲り、露わになった女性用の白いパンツに指を這わせる 「堪んないなぁ……ちょっと脱いじゃおうか……」 形に添って、爪を立てた指先を上下にゆっくり動かしながら、少し荒い息づかいのまま台詞を吐く 「………」 ガタンッ 健太郎に似た男が消えた方向から、大きな物音が聞こえた と、同時にざわざわとざわめきが起こり、ベット近くにいた男性スタッフ達がチラチラとそちらに顔を向ける 男優の指が、僕のパンツのゴムにかかる そしてゆっくりと、無抵抗な僕から剥ぎ取ろうとした 「てめぇら、何してんだっ!」 突然の怒声に、一瞬だけ時が止まる 誰かがこっちへ向かってくる 押さえ込もうとする複数の男性スタッフを蹴散らし、僕の目の前に現れたのは…… 「なんだぁ……?」 肩を掴まれ振り返った男優が、威嚇した声をあげる しかし相手を見上げるなり、すぐに怯えた 空を切り、拳がその顔を歪ませる バキッ、 鈍い音と共に、男優がベットに倒れ込んだ ……え 驚いて両膝を閉じ、身を起こしながら足を引っ込める そして足元で伸びた男優に視線を落とした後、目を見開いたまま、殴った相手を見上げる 「………」 「……ほら、行くぞ」 差し伸べられた、手 その手の甲には、見覚えのある……キティの絆創膏が貼られていた

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