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胸の奥が、ズクンと甘く脈打つ
頬がどんどん熱くなり、どんどん彼に引き寄せられていく……
僕が言葉を返さなかったからか、ソファから背を離し、彼が振り返る
それにハッとして、慌てて口を開く
「……あ、あり、……ありがとう……ございます……」
服をギュッと抱き締めたまま、背中を丸め頭を下げる
「んなのいいから……」
そう言いすぐに、またその背をソファに沈めた
「早く着替えな」
「……は、はい」
ソファの背後……彼の死角にいる事を確認し、腕をクロスして裾を掴む
ただ、着替えるだけなのに……カァッと頬が熱くなる
考えてみれば、僕は男で、同性の前で上半身を曝したって……全然ヘンじゃない、のに……
高鳴る胸を抑え、えいっ、と一気に捲り上げれば、外すのを忘れていたカチューシャが最後引っ掛かってしまう
「……あぁ、着替えるなら……」
突然彼の声がし、慌てて服を戻そうとする
けど、襟口に引っ掛かったカチューシャが邪魔をし、元にも戻せずパタパタと慌てる
「なに……やってんだよ……」
「……ご、ごめんなさ……」
彼の気配がすぐそこまで迫る
と、カチューシャがゆっくり引き抜かれた
それにより、するっと服が元の位置に戻る
「………」
裾を懸命に引っ張り下げ、醜態を晒してしまった事に恥ずかしさを感じ、顔を向けられない……
「……ほら」
俯いたままのその視界に、猫耳カチューシャが映り込む
「……それと、浴室があっちにあるから……シャワー浴びるなり着替えるなり……そっちでしてくんねぇかな……」
案内された浴室前……簡易的なパーテーションの内側で、ユニフォームを脱ぐ
「………」
あのビル内で、見知らぬ男に組み敷かれ、舐められたそこが気持ち悪い……
……嫌なのに、感触がまだ残って……
プリーツスカートのファスナーを下ろし、するりと下に滑らせ足を引き抜く
その下に現れた、フリルレースのついた女性用の下着……
その上からなぞられた感触が、鮮明に思い出される
……なんで、抵抗できなかったんだろう……
ギュッと目を瞑り、その下着を脱いだ
浴室のドアを開け、足を踏み入れる
そして蛇口をひねり、温度調節をしながらシャワーを浴びる
どんなに洗い流そうとも、あの嫌な感触は……すぐには消えてくれそうにない
……また、記憶の上塗りをして
奥深くに、沈めよう……
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