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……知ってる……
アオは優しくて、仲間想いなんだって事……
サァァー
シャワーの音が、あの雨の日を容易に思い出させる
濡れた髪の先から、雫が滴り落ちる
あの日………
ぐったりとした茶々丸とミルクを抱えて……アオは、何とかしたい一心で……僕を、探し出したんだから……
アオ自身だって、苦しい筈なのに……自分の事は二の次にして……
あの雨の中を……
『小太郎を探すと言って訊かないものだから』
……だから
アオの中で、僕は憎むべき相手なんだと思ってた……
何かと攻撃的だったり警戒心を剥き出しにしたりするのは、そういう事なんだって……
「………」
健太郎の家に行ったあの日
踞って泣いていた僕に、牙を向いて威嚇したのだって………僕から、キナコの匂いがしたから……その居場所を聞き出す為に………
『……これ、は何だ』
『誰かにやられたのか……!?』
瞬間、その時の光景が鮮明に蘇る
少しだけ見開かれ、すぐに吊り上がったアオの瞳
その視線の先は、健太郎に付けられた……鎖骨の下……
『……貴様、小太郎に何をした』
健太郎の家へ皆で行った時
アオがそう言って、健太郎に掴みかかって……
「………」
片手で口元を覆う
あの時の行動は
全て、キナコの為なんだと、思ってた……
アオは……あの時、僕の事……
……なのに、僕は……それに全然気付かなくて……
「………」
昨夜、あんな事を言ったのも……
……僕の為、だったの……?
なのに僕は
言葉通りに受け止めて
アオの気持ち、全然考えてなかった……
サァァー
シャワーを頭からかぶった後、軽く頭を左右に振り、上を向いて顔に当てた
蛇口を締め外に出ると、茶々丸が用意してくれたのか、僕の部屋着が置かれていた
それに着替え、タオルで髪を拭きながら部屋へ向かうと、キッチンからドタバタと騒がしい音が聞こえた
「……コタロー!」
そのキッチンから廊下に飛び出してきたのは、ポニーテールにエプロン姿のミルクだった
「おっかえりぃー!」
そう言ってミルクが笑顔を向け、僕に駆け寄れば、艶のある白い髪がさらりと揺れた
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