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「……良かった」 頬から手が解かれる そしてそのままミルクの両手が僕の背後に伸び、僕の首に細い腕を絡ませる ……ふわっ ミルクの甘っとろい香りに包まれ、僕の鼻を擽った 「これでもコタローの事、心配してたんだから」 「……ご、ごめん……」 「それにね、ミルク………不安だったんだよ?」 静かにそう言ったミルクが、小さく吐息し、ぎゅうとしがみつく 「……ボクの事嫌いになっても………絶対、捨てないでね」 耳元に寄せられた、ミルクの唇 そこから弱々しく発せられた声が、僕の罪悪感を掻き立てた ……だから、捨てないで……ママ…… あの時の記憶が蘇る ……もしかして、一緒に住めなくなるって言ったから……ミルクは…… 両手を上げ、ミルクの背中に手を回す ……と、シルクの様に滑らかな肌に指が触れ、慌ててすぐに離した 「……わっ、ご……ごめ……」 ……裸エプロンだったの、忘れてた…… 頬に熱が集中してしまった僕に、ミルクがぎゅっと力を籠めて離さない 「ううん。もっとミルクに……ぎゅう、して……」 ……コタローのエッチ! そう言って、からかってくるものだと思っていた ……けど、もしかしたら……これがミルクの心根なのかもしれない…… 「……うん」 こんな風に甘えてくるミルクは、初めてだった それは、まるで幼き頃の僕のようで…… 両手をミルクの背中に回し、あの時母にされたかった様に、ミルクを抱き締める 「……オイ、貴様ら」 突然僕の背後から、低く唸る声が聞こえた 驚いて振り返れば、そこには腕組みをしたアオが、鋭い視線を向け立っていた 「オレ様の目の前で、よくもそんな破廉恥な事を……」 「……ご、ごめんなさい……」 条件反射の様に謝りながら、ミルクからパッと手を離す すると僕の首に絡めた腕をゆっくりと解いたミルクが、口角をクッと上げ、アオをじっと見据えた 「……本当はアオも、コタローにぎゅってされたいんでしょ」 「なっ、何を馬鹿な……」 アオの瞳が、カッと見開かれる だけどその頬は赤く、すぐに視線が逸らされてしまう 「……べ、別にオレ様は……」 「だったら、邪魔しないでよねぇ」 ミルクの手が、僕の頬に添えられる そして、ぐいと顔を向けさせられれば、スッと唇が寄せられた 「……な、っ……み……ミル……んっ、」 驚いて避けようとする と、僕の後頭部に、もう片方のミルクの手が掛かった そしてグッと引き寄せられ唇が重なれば、割り開いたそこからミルクの舌が瞬時に差し込まれた

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