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「それとねっ、……撮影の時にアオの話をしたら、『是非モデルに!』って事になってぇ……」
「……き、貴様!なに勝手な事を……!」
ミルクの言葉に、アオが噛み付く
「オレ様は絶対に、やらないからな!」
「えー、じゃあアオはぁ……もう大っ好きな喫茶店通い、できなくなっちゃうねぇ……カワイソォー」
「……なっ、……卑怯だぞ、ミルク!」
二人の様子を、片肘をついて穏やかに眺めていた茶々丸は、落ち着いた大人の微笑みのまま僕へと視線を向けた
「小太郎……これからは一人で抱え込もうとせず、茶々丸達をもっと頼って欲しい」
その笑顔はとても暖かくて……僕を優しく包み込んでくれる
「……″家族″……なんだから」
その言葉が、僕の心にスッと溶け……奥の方がじん、と熱くなる
目頭が熱くなり、下瞼に溜まった涙がポロッと零れ落ちる
……家族……
「……ご、ごめ……、嬉しくて……」
慌てて涙のあとを拭えば、ミルクの潤んだ瞳が向けられる
「……うん、ボクも嬉しい
あのね……雨の中、コタローに抱き上げられた時、濡れた体を拭いて貰いながら……コタローの家族になりたいなぁって、思ってたから」
ミルク……そんな風に思ってくれてたんだ……
屈託のない笑顔を向けられ、僕の涙腺が更に緩んでしまう
「……別に、してやってもいいぞ………モデル」
感涙にむせぶ僕を見たアオが、チッ、と舌打ちをする
驚いてアオを真っ直ぐ見れば、すぐに視線を逸らされてしまう
「か、勘違いするな。……喫茶店通いの為だ!」
ぶっきらぼうな言い方
だけど、その頬は熱を持ったように赤くなり、隠すように僕から顔を背ける
「ねぇ、アオ。もっとボクみたいに素直になりなよぉ!」
悪戯っぽい笑顔に変わったミルクが、そんなアオに茶々を入れる
「……はいはい!
じゃあ、そろそろご飯食べようか」
茶々丸の一声と、パンと打った拍手で空気が変わる
すっかり冷めてしまった夕食
だけど、楽しくお喋りして、笑って食べる食事は美味しくて……
茶々丸達と一緒に暮らすまで……知らなかった
少し前まで一人で、孤独を感じる事もあったけれど
こうして誰かと一緒に住んで、食卓を囲むようになってから
……僕はもう、一人では淋しくて……
このままずっと、茶々丸達と一緒に暮らせるものだと……
この時の僕は、思っていた
第2章 完
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