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Ⅲ いま、吹き荒れる嵐⑨

「イク、すごい汗だ」 「エアコンきいてるのに、どうしてこんなにっ。汗でイクミの体、テカテカに光ってるよ」 ぴた 「熱は……ない」 ヘンゼルが、俺の額に手を当てた。 搭載されたサーモグラフィ機能で熱を測るが、平熱だ。 「発汗がすごいね。おパンツも湿ってるのは、汗?それとも~……」 キラ~ンッ キラ~ンッ 碧眼と灰銀の眼が、同時に光った。 クンクンクン スンスンスン 「臭いはないな」 「油断するな。カウパーの線も疑われる」 「なるほど、それなら臭わないな」 「お漏らし路線を念頭において捜査だ。ヘンゼル」 「犯人(ホシ)は、この中に立て籠っている!」 「気をつけろ。犯人(ホシ)は拳銃を持っているぞ」 「フンッ……あんな皮被りの子供騙しに、俺がビビるかよ」 「(あなど)るな。小さいが、射出量と射出距離はバツグンだ」 「グレーテル……俺はッ。あの白いのに撃たれて眠るんなら、本望だゼ」 「ヘンゼルゥゥゥ~~っ!!」 「なに茶番しとるんじゃァァーッ!!」 ガツンッ ゴツンッ プシュゥゥゥー 頭から湯気出して、寝てろ! お前達が、そういう悪ふざけばかりするからッ お前達への怒りの汗と、お兄様の冷や汗だわーッ! ヘンゼル グレーテル 散々言ってくれたな。 皮被りとか、子供騙しとか、小さいとかッ 「イクの生殖器は小さいぞ」 「日本人男性の平均に照らし合わせてみても小さいね」 「~~~」 「平常時も勃起時も、両方平均を下回ってるぞ」 「俺達のデータは正確だよ」 「やかましいわっ」 「でも……」 「俺は……」 小さいイクが…… 小さいイクミが…… 「「大好きだぞ♥」だよ♥」 「黙れェェェーッ!!」 ガツンッ ゴツンッ プシュゥゥゥー 「……イク、白ブリーフ似合ってる」 「とっても可愛い……」 それが、お前達の辞世の句か。 自由律短歌だな。 ヘンゼル…… グレーテル…… 永久(とこしえ)に眠れ ハァハァハァハァ…… 「ずいぶん、楽しそうだったね」 「ワァっ」 俺の体、宙に浮いている。 お兄様に抱っこされてるーっ! 「ベタベタ触られて……穢れた体を清めるよ」 「俺、触られてない」 「あんなに触られて。お前はまだ、私に嘘をつくのかい?」 臭いを嗅がれただけで、触られては…… 宵闇の眼が蠢いた。 「視姦されていただろう」 ヒィィッ!そんな事、絶対ないっ 誤解なんだ! 訴えようにも、蛇に睨まれた蛙の俺 カラカラに喉が渇いて、声が干上がっている。 不意に、黒瞳が柔らかな眼差しを落とした先は……俺の白ブリーフだ。 前の膨らみを、掌がそっと包んで…… 「濡れたおパンツをはいて風邪を引くといけないから、脱いでしまおうね!」 スポーンっ! 一瞬の早業(はやわざ) 両脚から抜き取られた白ブリーフが、華麗に宙を舞った。 「お前のお兄様は、正しい事しか言わないよ」 なんでーッ 俺のアソコが半勃ちになってるぅ~!!

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