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Ⅳ 風呂はジェットコースター⑥

「ア、フゥ」 お兄様の唇が、肩に落ちた。 「……次は、背中」 指の腹が背骨に添って這う。 ビクンッ 快楽を爪で引っ掻かれたかの衝撃に、脚の付け根でそそり立つ昂りの熱脈が跳ねた。 「動いちゃいけないよ。洗い終わっていないんだ」 「ハ、ハゥウ~」 切ない甘美が湯煙に響く。 もどかしくて、物足りない。 腰まで指が下りて、這い上がる。 また下りて、尾てい骨をつん……と押す。 その度に微弱な電流が、体を駆ける。 「洗えたよ……印を付けようね」 「フワっ」 泡を流して、洗い終えた箇所にお兄様の唇が降りる。 「もう……お兄様、ヤァ」 「まだ、体の半分も洗っていない。次は腕と脇腹だ」 既に鎖骨にも、胸元にも、乳首の下にも。 お兄様の印が付いている。 洗い終わったら、その場所にお兄様の痕を付けるんだ。 俺の体……全部、お兄様のものになってしまう~ 「お前は最初から、私のものだ。確認をしているに過ぎないよ」 チュッ 背中を唇が下って…… チュッ、チュッ、チュウーッ 尾てい骨の上にも、花びらの散る痕を付けられた。 「思ったよりも時間がかかる。お前が湯冷めして、風邪を引いたら大変だ。 ……君達、いつまで寝てるんだッ」 お兄様の静かな一喝に、床で固まっていた影が、すくりと動いた。 ヘンゼル! グレーテル! 生きていたのかっ 「郁巳が湯冷めする。君達は、郁巳の右足と左足を洗うんだよ」 「いいんですかっ、お兄さ…」 「……じゃないッ!」 ギロリ 冷水なしで、ヘンゼルが凍りついた。 「………ミ、コ、ト、サマ」 お兄様の名前を呼ぶ声が、棒読みだ。 想像を絶する恐怖に、感情が凍結(フリーズ)したみたいだ。 「早くしなさい」 「カ、シ、コ、マ、リ、マシタ」 「はーい」 グレーテル強いな。 ……さては、こいつ。 いじけて、床で寝ていただけだな。 ……ヘンゼル、大丈夫だろうか? まだ棒読みだ…… ヘンゼルが右足を、 グレーテルが左足を、 お兄様が背中から、腕と脇腹を洗ってくれる。 俺、王様になったみたい★ かしずけー、家臣ども♪ 「イクミ、気持ちいい?」 「うん。とっても」 グレーテルが脚の指の股まで一本ずつ、指を添わせて洗ってくれるから、とても気持ちいい。 「足つぼマッサージもしてあげよう!」 アァァー、そこっ そこっ、そこっ。程よい刺激に気持ちよくて、癒やされるゥー! 「じゃあ、俺はリンパマッサージだー!」 おっ、ヘンゼルが復活した。 ……って! 鼠径部(そけいぶ)に伸びたヘンゼルの手が捕らえたのはッ ききき、きーん 「タマタマでリラックスしような!リンパの流れが良くなるぞ」 うそだ。 脚を閉じようにも、グレーテル左足をホールドしているから自由がきかない。 双子の見事なコンビネーション プレイだ。 ……って、関心している場合じゃない! 繊細な手付きで、男の大事な玉袋をやわやわ……揉みしだく。 「アハー、らめぇー」 「おやおや、かなり凝りがタマってますねー。コリコリコリ~」 オヤジギャグやめろ。 「らめらってぇ~」 うぅン~、俺のアレ~ タオル巻かれて絞めつけられてるから、刺激しないでェ~ 「俺もやる。……ほんとだ。タマには揉みほぐして、タマった凝りをとってやろう!コリコリコリ~」 グレーテルまで、オヤジギャグ言って~ 「ヒやァーン」 「目を潤ませて……真っ赤になったお前の顔、エロくてタマらないね」 もうー、誰だよ。 またオヤジギャグ言うのー また……… オヤジギャグ……… ここにいるのは、ヘンゼルとグレーテル……と、俺。 そして!! 「金玉に溜まっているのは、私のための特濃ミルクだよ」 お兄様ァァァー!! 「……俺のミルクは、お兄様のものでは~」 「私だけのもの、だよね?」 「もちろん!お兄様のミルクです!」 うっ、うぅ~ 心の中で泣く。 俺の玉袋は、お兄様御用達のミルク貯蔵庫になってしまった……

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