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Ⅴ 計画は慎重に……①
俺は膝の上。
お兄様が膝枕してくれている。
パタパタパタ
うちわで扇いでくれているのは、ヘンゼルとグレーテルだ。
「起きられるかい」
背中に添えてくれたお兄様の手を頼りに、体を起こした。
グレーテルが、ペットボトルの口を開けてくれる。
喉を鳴らして半分くらい、一気に中の水を飲み干した。
コホッ、ゴホッ
「大丈夫か」
トントンっ……と、お兄様が背中を叩いてくれる。
「慌てなくていいからな」
口の端からこぼれた水を、ヘンゼルがタオルで拭いてくれた。
ぼぅー……としていた頭の芯が、だんだん楽になってきた。
「長湯させてしまって、すまなかったね」
「もう平気。ありがとう、お兄様。ヘンゼルとグレーテルも、ありがとう」
「イク、出掛けられそう?」
「大丈夫だと思うけど」
「じゃ、お昼食べたら四人で出掛けよう」
俺と、お兄様と、ヘンゼルとグレーテルで?
「そう。せっかくイクミが夏休みで、ミコトさんも来てくれたんだから。どこかに行けたらいいな。……って、話してて」
「イクの喜びそうな所、三人で話し合って決めたんだ」
へぇー、もう三人で行く所決めてくれたんだ。
どこだろ?
「琵琶湖?」
「暑いだけだよ」
うっ。お兄様、琵琶湖に手厳しいな。
「ショッピングモールでお買い物とか」
「ありきたりだよねー」
「映画」
「一緒にいるのにお互いの顔が見えないって、寂しくね?」
うーん、どこだろう?
さっぱり見当がつかない。
んー……んー……
「あれ?ところでさ」
「なんだ、イク?」
「どうした、イクミ?」
湯あたりした俺は、ともかく……
「なんで三人ともパンツ一丁なんだ?」
「それはだな、イク……」
「それはねー、イクミ」
「これから行く所に関係あるよ」
パンツがヒント?……
「パン屋さん……とか」
「ブー」
「はずれー」
「不正解だよ」
じゃあ、どこだ?
「イクの喜ぶ所だぞ」
んー……んー……
………ダメだ。
全然、分からない。
「降参~」
「正解は……」
ムフフ~
ウフフ~
ヌフフ~
どうしたっ?パンツ一丁野郎どもっ
顔の筋肉が崩壊してるぞ。
顔の筋トレしろッ
バーン★
なぜ、立ち上がったんだ?
お兄様、ヘンゼル、グレーテル!
………!!
黒、青、ピンク!
皆ピッチピチ ブーメランだから、性器の形が丸見えでパッツパツだァァー!!
「イク!」
「イクミ!」
「お前の悦ぶ……」
「「「ラブホだ♥」だぞ♥」だよ♥」
「行かんわァァァーッ💢!!」
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