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Ⅴ 計画は慎重に……②

計画は振り出しに戻った。 どこへ行こう。 「滋賀は琵琶湖以外、なにもないからねぇ」 うっ。お兄様、琵琶湖は近畿の水瓶だぞ。 「なにもない。滋賀には琵琶湖以外に、なにがあるというんだ?」 サラダパンがある! たくあん挟んであるぞ! マヨネーズとの相性バッチリで美味しいぞ! 「サラダパンなら今朝買ってきたぞ」 「食べる?イクミ」 「……後で~」 サラダパンを買いにお兄様を連れ出す口実が、なくなってしまった。 どこかないかなー? 冷房きいてて、涼しい所~ 「ところでさ」 「なに?ヘンゼル」 「文化祭、参加しなくて良かったのか?」 「ナァァァーッ」 言うなッ! ヘンゼルっ、このタイミングでっ! 「そう言えばイクミの大学、この時期に文化祭だったなー」 グレーテル、お前もかァッ! 「……大学の文化祭って、どういう事?」 「そそ、それはっ、お兄様っ」 「夏休みに入ってたんじゃないのかい?」 「文化祭は自由参加で、俺は皆より一足早い夏休み……で~」 「なるほど。皆が頑張ってるんだね。 先輩や同胞が、この酷暑の中で頑張っていて、お前は一人で一足早い夏休みなんだね……」 「……お兄様、文化祭見学に出掛けませんか?」 こうして、お兄様の手土産のピザを温め、ヘンゼルとグレーテルの作ってくれたカルボナーラとシーザーサラダとフルーツヨーグルトを食べた後…… 俺達は大学の文化祭に向かいました。

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