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Ⅷ ヒミツのお兄様③
俺の体……背後から、お兄様に抱きすくめられて。
お兄様が、俺の誓いの言葉を言って。
お兄様と誓いのキスを交わしてしまったー!!
「神様の前での約束は、破ってはいけないよ」
………チュッ
唇を奪った唇が、俺を悪戯に啄んだ。
「アーッ、俺達のイクがッ!!」
「花嫁が盗まれたァァッ!!」
「えェェェッ!!?」
俺、お兄様の肩の上。
俺を抱きかかえたお兄様が駆け出した。
路地を抜けて、ちょっとだけほかの道より広い通りを渡って、駐車場の裏の石段を一気に頂きまで駆け上った。
ハァハァハァハァ
「こんな事なら、白いタキシードを着れば良かったよ」
口許を押さえたお兄様の横顔は、悪戯な笑みを浮かべている。
ハァハァハァハァ
全力疾走したから、お兄様の息も絶え絶えだ。
「さすがに小さい頃と同じ……という訳にはいかないね」
呼吸を切らして体力の低下を嘆くお兄様だけど、俺を抱えて走ったんだから、寧ろ凄いと思う。
「……偶然なんだ」
宵闇の眼が、青い海と白い屋根を映していた。
「お前との思い出の場所に行きたくなって……そうしたら、思い出の中に大きくなったお前がいたから……」
私は、お前を……
「奪ってしまったよ」
抱きすくめられて、おでこを……こつん。
二人で見た鳥居越しの景色は、変わらない。
鳥居の中に、白い三角屋根と青い空がいて……
海が光を浴びていた。
俺達の体が、ちょっと大きくなっただけ……
俺達はどちらからともなく、口づけを交わした。
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