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第1話

「お前、面白いこと言うな。 なあ、この学園で一番逆らうべきでない人間を教えてやろうか。──織田信、だったか? 信、お前のその体に直接な」 男子生徒にぞっこんだと聞いていると、体に教え込むという言葉の意味があっちの方面にしか聞こえなくて遠慮したい気持ちになったが、会長のファンらしい乙女顔の男たちの目がいい加減さっきから痛い。 女に睨まれてるみたいな居心地の悪さだ。 ここは素直に従った方がいいか。 「生徒会室に行くぞ。可愛く啼いたら、退学は免除してやるよ」 会長が始業式サボるのかよ。挨拶とかもあるだろ、職務放棄か。 呆れ果てつつあったが、俺は「立て」と言われた通り、席から立ち上がった。 「………でかっ………でかいな、お前………」 皇は一瞬面食らった。 なるほど、こうして並んでみると皇も体格は悪くない。身長は180あるかないかか?さっき見たときも思ったが、筋肉も程よくついている。一般的な日本男児と比べれば恵まれた体つきだと言えた。 自分の体格の良さに自信があったから、俺を抱くなんて気味の悪いことが言えたんだな。 「織田、お前何センチ?」 前田が目を丸くして見上げてくるのに、素っ気なく答える。 「192」 皇のお格好いい顔に焦りが滲むのが認められたが、それも僅かなものだった。俺はどうやら始業式そうそう退学の危機らしいから、きっと逆らえないと思っているんだろうか。 俺としてはな、このまま学園に残ろうが追い出されようが、どっちでもいいんだよ。 捨てる物のない人間の危うさを知らないであろう俺様エリート生徒会長様の処遇を内心で決めて、俺は少しだけ口端を持ち上げた。

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